2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530260
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
板倉 健 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90405217)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | CGE / 計算可能な一般均衡モデル / FDI |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究期間の3年間で、資本蓄積による投資動学を明示的に取り扱う動学的グローバルCGE (Computable General Equilibrium) モデルを開発することであり、特に海外直接投資の定式化を重要視している。主要実施項目は次の3点である。(1)動学的グローバルCGEモデル開発と海外直接投資の組込み、(2)モデル開発の基礎となるデータベースの整備、(3)政策シミュレーションの実施である。 初年度の平成24年度には、静態的な予想に基づくrecursive dynamicsである、Dynamic GTAPモデルを試算分析に応用することで再検討した。一方で、完全予見を仮定するintertemporal dynamicsによる投資モデルの開発にも着手した。モデル開発用プログラム言語としてGEMPACKとGAMSを利用し、両プログラムによる開発環境整備を行った。 動学的グローバルCGEモデルの構築作業では、heterogeneous企業の輸出行動と産業部門生産性を内生的に記述するモジュールを開発した。このモジュールはFDIを考慮する際にも重要であり、今年度の大きな成果と言える。具体的には、貿易自由化に伴い輸出を拡大する効率的な企業と撤退する非効率な企業の出現により、産業部門生産性の変化を数量的に補足することが可能となる点に重要性がある。敷衍的な拡張として、さらに効率的な企業がFDIを行うといったモデル内での定式化に道筋をつけた意義ある成果と考えられる。データベース整備については、ジュネーブで開催された国際学会への参加を通じて、USITCでのFDIデータ推計研究について有益な知見を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、動学的グローバルCGEモデルの構築について既存モデルの検討から始め、拡張方向を探りつつ改編もしくは追加モジュールの開発を行っている。また、モジュール開発を2つの異なるプログラミング言語で行い、それぞれの特性を比較してきた。プログラム記述方法やモデル定式化の違いを把握する作業に時間を要したが、同一の数理モジュールを各言語でプログラミングするための知識と技術を積み上げることができた。連携研究者の多大な貢献と協同作業を通じた相互理解は特筆すべき点である。モデル構築のための共有基盤を得た事から、今後の作業効率を高めることが可能となった。 具体的には、時間は要したが、heterogeneous企業モジュールの開発を2つのプログラム言語で行ったことにより、GEMPACKによるrecursive dynamicsとGAMSによるintertemporal dynamicsによる投資動学の定式化を、両言語相互で実装することへの方向性を見いだした。このことから今後の作業の効率化が計れる見通しが、自己点検評価の理由として挙げられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、先述のheterogeneous企業モジュールの比較静学グローバルCGEモデルへの組込みについて、上海で開催される国際学会で報告する予定である。また、同モジュールの動学モデルへの組込みを完成させるべく開発作業を継続する。そして、GEMPACKによるrecursive dynamicsからintertemporal dynamicsへの改編を行う。この作業過程では、同時にFDIモジュールの開発と組込みを行う。また同時に、最終年度となる平成26年の国際学会での報告に向けて、開発過程の記録と結果をまとめた論文を執筆する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|