2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530260
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
板倉 健 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90405217)
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Keywords | CGE / Trade / firm heterogeneity / 計算可能な一般均衡モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究期間の3年間で、資本蓄積による投資動学を明示的に取り扱う動学的グローバルCGE (Computable General Equilibrium) モデルを開発することであり、特に海外直接投資の定式化を重要視している。 この目的に向けて、平成24年度には recursive dynamicsを備えたDynamic GTAPモデルによる応用分析に加えて、heterogeneous firmの輸出行動を記述するモジュールを開発した。このモジュールの重要性は、CGEモデル開発の基礎となる理論としてHelpman, Melitz and Yeaple (2004) による “Export Versus FDI with Heterogeneous Firms” を想定していることによる。輸出モジュールの開発は、heterogeneous firmの輸出とFDIを数値モデルに組み込む際、その第一歩として非常に重要であった。 平成25年度は、グローバルCGEモデルへの heterogeneous firm 輸出モジュールの組込み精緻化と、核となるパラメータの導出において研究上の進展があった。前者の組込みでは、CGEモデルのプログラミング言語であるGEMPACKとGAMSの2言語で組込みを行った。プロトタイプモデルによる研究中間報告を、上海で開催された 16th Annual Conference on Global Economic Analysis において行った。後者のパラメータ導出では、数値計算上の問題があり、特にGEMPACKでこの問題の解決策を見つけることが困難であった。しかしながら、より効率的なパラメータ導出手法を発見したことで、今後のモデル開発が進展する見通しを得た。また、Purdue大学国際貿易分析センターへの訪問では、heterogeneous firmをグローバルCGEモデルで扱う同様な開発が行われており、非常に有益な意見交換と今後の研究協力の機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、動学的グローバルCGEモデルの開発作業を通して、heterogeneous firmの輸出と直接投資のモジュール組み込みを行っている。これまでの拡張では、フレキシブルな輸出モジュールのプロトタイプ開発で成果を出しつつある。輸出モジュールについては、GAMSとGEMPACKという2つの異なるプログラミング言語での実装が完成しつつある。 核となるバラメータの計算過程を検討する作業にかなりの時間を要したが、より効率的な導出方法を特定化することができた。連携研究者の多大な貢献によりこれまでの進捗が得られたことは特筆すべき点である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、heterogeneous firmの輸出モジュールのさらなる作り込みとその試算応用としての貿易自由化シミュレーションを実施することで、完成度を高める予定である。また、直接投資モジュールについての検討とプロトタイプ開発を継続し、輸出モジュールとの接合を行う計画である。研究開発の進捗状況は、国内外の学会での報告機会を有効に活用し、同分野での研究者からのコメントやフィードバックを開発作業に反映する。具体的には、セネガルで開催される17th Annual Conference on Global Economic Analysisや、国際経済学会での研究報告を予定している。
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