2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530262
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
篠崎 剛 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (80467266)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロビー活動 / 世代重複モデル / 所得不平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,最終年度として,これまでに行ったモデルに個人の異質性を導入した所得再分配モデルを構築した。これは小国経済において初期の資産格差がある場合に国内の所得不平等が生じることを明らかにしたGalor and Zeira (1993, RES) にGrossman and Helpman (2001) タイプのロビー活動を導入し,資産税へのロビー活動が所得不平等へ与える影響を考察するものであった。分析の結果,多数派が低(高)所得層であれば,彼らが行うロビー活動は低(高)所得層の所得水準を引き上げる(下げる)ものの,それによって低(高)所得者数を増加させるというトレードオフが存在することが明らかにされた。これはInternational Institute of Public Finance にて報告された。 過年度に行った研究において明らかにされたことも合わせ,動学的環境,特に世代重複モデルにおけるロビー活動の効果は次のようにまとめられる。第1に,ロビー活動は,人々の税率への需要を変えるため経済の状態(変数)を循環的に変動させることが明らかになった。第2に,上記で明らかにされたように,所得不平等について,各所得層の所得水準を変えることはできるものの,その副次的な効果として,各所得層全体に負の効果を与えることが明らかになった。これらの2点は静学的枠組みを用いたものでは導かれないものであり,今後の研究の発展において明らかにされていかなければならないものと考える。
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Research Products
(3 results)