2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530264
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
清水 大昌 学習院大学, 経済学部, 教授 (10396898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老名 剛 信州大学, 経済学部, 講師 (00579766)
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Keywords | 合併基準 / 製品差別化 |
Research Abstract |
本研究では、国内の大型企業同士、ならびに国内外企業の合併について、公正取引委員会が用いている既存の企業結合ガイドラインを見直し、現在の日本ならびに世界の経済事情により整合した合併基準を策定することを目標としていた。ただし、昨年度のこの欄に記載したように、公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)との共同研究が難しくなったため、提携して進めず、現状では理論的分析を進め、最終的にはCPRCのメンバー個人の協力を仰ぐことは続ける。 本年度の理論研究として英文雑誌に掲載が認められたのが次の論文である(*)。垂直的関係(例;卸売企業と製造企業)にある2つの独占企業が企業結合することにより、消費者余剰の変化の推定に関して新たな測定方法を提示した。具体的には、第3種価格差別で用いられている測定方法を垂直的関係にある独占企業間の結合に対して応用することにより、費用の変化が価格に影響を与える指標であるパス・スルーを用いて、消費者余剰の上限と下限を解析的に導出した。結果として、上流企業と下流企業のマークアップ比率が高くなればなるほど、または、上流企業と下流企業のパス・スルーの比が高くなればなるほど、企業結合後の消費者余剰の増分に関する上限と下限の比は高くなる、ということを示した。消費者余剰の水準は企業結合の是非を考える際には非常に重要であり、この結果は本研究のガイドラインの一環となることが期待できる。 (*) Takanori Adachi and Takeshi Ebina, "Double Marginalization and Cost Pass-Through: Weyl-Fabinger and Cowan Meet Spengler and Bresnahan-Reiss", Economics Letters, Vol.122, Issue 2, pp.170-175, February 2014.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては企業結合についての提言を最終的に行うための理論的バックグラウンドを用意することが肝要である。そのために必要な論文を作成しており、現在は順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度も理論的バックグラウンドの構築の継続は不可避であり、論文の作成を進めていく。また、国を跨いだ企業結合や、多国籍企業を含んだ企業結合について、企業の企業結合に対するインセンティブはどのように変わるかについても注目していく。また、他分野の研究者や実務家の意見を取り入れながら現状と整合的な合併基準の作成を目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本来本年度に行おうと考えていた海外出張とコンファレンスを行うことが出来なかったため。 今年度に海外出張とコンファレンスを行うことでカバーしようと思います。
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