2015 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット上の情報検索機能によるプライバシー侵害の経済分析
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24530272
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土門 晃二 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00264995)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済政策 / プライバシー侵害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、前年に引き続き論文の改定を行った。データ分析では、学術雑誌投稿時のレフェリーからのコメントを参考にし、タイと台湾で収集したアンケートデータの統計処理の修正を行った。また、分析結果に説得性をもたせるために、データの背景となる現地の状況について追加情報を収集し、データへの影響についても言及した。データ分析の前提となるモデルでは、プライバシーに関するストリート・ビューのユーザーの特性の分布を仮定する必要があるが、解釈が容易な明示的な解を得ることは難しく、数値例によるシュミレーションを実施し、データとの整合性が得られるように工夫を行った。いずれも、サンプル・データが示すストリート・ビューによるプライバシー侵害を感じる割合が、30%前後であることを裏付けることが必要であった。 また、データ分析の論文とは別に、純理論分析のモデルの拡張を行った。学術雑誌投稿時にレフェリーから、他の分野の論文との関連性の考察を指摘されており、相互的な外部性が存在している伝染病や感染症のワクチン接種の議論との相違を明確にするようにした。さらに、モデルの記述を分かりやすく簡略化するように指摘があり、分析結果に影響がない範囲で工夫を行った。 これらの修正を行った論文は、現在学術雑誌への投稿に向けて最終的なチェックを行っており、それが終わり次第、投稿を行う。ストリート・ビューに代表される相互的なプライバシー侵害は、グーグルグラスの市販化の延期などからも分かるように、現在市場では受け入れの限界に達している。本考察は、理論的および実証的に、そのようなプライバシー侵害の受容限度を整理しており、ネット社会のプライバシーを考える上で重要な意義を持つものである。
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