2013 Fiscal Year Research-status Report
企業の海外進出形態とアウトソーシングの内生的選択と政府の貿易政策の理論的研究
Project/Area Number |
24530279
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大川 昌幸 立命館大学, 経済学部, 教授 (50291761)
|
Keywords | joint venture / trade policy / imperfect competiton / tariff tax reform / ownership share / trade liberalization / Bertrand competition |
Research Abstract |
本研究課題に含まれる企業の海外進出形態の内生的選択のテーマに関して、多国籍企業の海外進出形態であるjoint ventureについての理論的分析を進めた。多国籍企業の進出先のパートナー企業の選択行動とjoint ventureへの技術移転の内生的決定行動を、政府が多国籍企業のJoint ventureの所有比率に対して規制を行い、その規制が市場構造を変化させることが起こりうる一般的なモデルに拡張して分析を行った。成果の一部は、9月にイタリアのバリ-で開催された、4th INTERNATIONAL CONFERENCE ON “ECONOMICS OF GLOBAL INTERACTIONS: NEW PERSPECTIVES ON TRADE, FACTOR MOBILITY AND DEVELOPMENT”で報告を行い、有益なコメントが得られたので、さらに分析を進めている。 次に、海外直接投資(Foreign Direct Investment: FDI)受入国の政府の貿易政策について、貿易自由化のための関税の引き下げとそれに伴う国内税制改革の理論的分析を、複数のモデルを用いて進めた。まず、海外直接投資が存在しない場合の政府の関税引き下げと国内企業の利潤税の改革について、寡占市場において企業がベルトランタイプの価格競争を行う場合について、明確な結論を得たので、”On the revenue implication of trade liberalization under Bertrand competition,” (with Tatsuya Iguchi, Economic Science, Nagoya University, 2013)として公表した。さらに関税引き下げと消費税改革の分析を行い、従来の研究では分析されていない改革の高価について、社会的厚生を引き上げることのできる様々な改革が存在することを示すことができた。その結果は、”Welfare and Coordinated Tariff and Consumption Tax Reforms under Imperfect Competition,” (with Tatsuya Iguchi, Ritsumeikan Discussion Paper, No. 13003)としてまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は「企業の海外進出形態とアウトソーシングの内生的選択と政府の貿易政策の理論的研究」であり、企業の主要な海外進出形態である現地生産とjoint ventureの形態について、これまでの理論的分析の文献を検討し、従来の研究成果を発展させるあるいは拡張するいくつかの新しい研究成果がすでに得られており、それらの一部は国際コンファレンスや学術論文として公表している。 さらに、上記研究実績の概要で述べたように、貿易の自由化に伴う関税の引き下げと国内税制度の改革の理論的分析において、従来の諸研究では示すことのできなかった新しい研究成果が得られており、その成果の一部を論文として公表しつつある。さらに研究を進めているところである。 また、研究課題に関する他の複数の研究テーマについても比較的順調に研究が進んでいると考えており、研究期間内に当初の研究成果が達成できるように一層努力したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在分析中の研究テーマである、垂直的な生産工程のアウトソーシングの理論的分析をさらに進めて、モデルの拡張を図る予定であり、年内に研究成果をまとめる予定である。成果が出た時点で内外のセミナー、学会で報告したいと思っている。 多国籍企業のjoint ventureでのパートナー選択と技術移転の理論的分析は一定の結論を得ているが、さらに分析を進めて論文の質的向上を図り、論文を学術雑誌に投稿する予定である。 立地選択行動の理論的分析、寡占企業の立地選択行動と受入国の最適税政策の在り方、海外直接投資が存在する時の貿易の自由化政策と国内税制改革のあり方についての分析を精力的に進める。 研究成果が出た時点で、国内学会、セミナーあるいは国際コンファレンスで報告し、内外の研究者との意見交流を通じて、論文の質を高めて、国際学術雑誌に投稿する計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費の支出額が当初の予定額より3,169円少なくなったが、次年度の直接経費と合わせて適切に執行することにした。 次年度の直接経費と合算して適切に執行する予定である。
|