2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24530282
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
新熊 隆嘉 関西大学, 経済学部, 教授 (80312099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅田 一 関西大学, 経済学部, 教授 (90330167)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非対称情報 / 環境保険 / 間接表明メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、汚染防止努力などの汚染者の行動自体が私的情報であり、政策当局によって観察されないケースを分析した。こうした問題に関しては、生じた環境被害の全額を汚染者に科すことで、汚染者に最適な汚染防止努力をさせることが可能である。ところが、ここで大きな問題となるのが、汚染者の賠償資力の問題である。賠償責任追及によって汚染者に最適な汚染防止努力をさせることができるのは、汚染者に賠償資力があるときに限る。 研究計画段階では、非対称情報と賠償資力という二つの問題を同時に扱う場合、ファーストベストの達成は不可能であると考え、「強制的環境保険」と「銀行の貸付責任」の導入という二つからよりよいセカンドベスト政策を選ぶ方針であった。ところが、こうした場合でも次のような政策によってファーストベストを達成できることを発見した。想定したのはタンカーのオイル流出事故のような汚染である。その政策とは、まず各タンカーの所有者に自分の事故確率を自己申告させ、実際の事故率(汚染者数に対する事故数の割合)との差に応じて個々のタンカー所有者に罰金を科す。すると、各タンカー所有者は虚偽の申告をするものの、結果として、社会的に最適な汚染防止努力水準を選択するようになる。さらに、こうした仕組みは、民間の保険会社によっても運用可能であることを示した。
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Research Products
(5 results)