2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530283
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
熊谷 成将 近畿大学, 経済学部, 教授 (80330679)
|
Keywords | physical activity / health production / dynamic panel / state dependence / caregiving / mental health |
Research Abstract |
1. Kumagai and Ogura(2013)では、厚生労働省「中高年者縦断調査」のパネルデータを用いて、健康状態に大きな影響を与える「定期的な運動習慣」と「健康ストック」を被説明変数とするdynamic random-effects probit modelsを推定し、中高年者の良い健康状態を持続させる健康増進策を考察した。 推定の結果、定期的な運動習慣がない人に比べて定期的な運動習慣がある人の方が、観測できない異質性の影響が小さくなることを見出した。健康に良い生活習慣(定期的な運動習慣あり、非喫煙等)を長期間維持している中高年者ほど、観測できない変数が健康状態に与える影響が小さくなると考えられる。換言すると、観測できない変数の影響が小さい人ほど、外的なショック、例えば「○○は健康にいいよ」という情報の影響を受けにくいと思われる。 2. 上記と同じデータを用いて、家族介護者の満足度と介護者の健康状態の関係に焦点を当てたKumagai(2013)を作成し、次の3点を明らかにすることができた。(1) 前年度に介護の満足度が高かった女性の介護者は介護を継続する。(2) 高頻度の介護 (週あたり20時間以上の介護)と介護者の悪い健康状態の間に正の相関がある。 (3) 週あたりの介護時間の長さは、介護継続の主要な決定要因である。Kumagai(2013)を発展させる形で、後述の2本の単著論文Kumagai(2014a, 2014b)を作成した(ともに未発表論文)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1. 医療経済学の主要英文査読誌の一つであるThe European Journal of Health Economicsに論文「Persistence of Physical Activity in Middle Age: A Nonlinear Dynamic Panel Approach」が掲載されたから。 2. 家族介護に関する論文の作成が順調に進んでいるから。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 厚生労働省「中高年者縦断調査」のパネルデータを用いて、健康診断の受診とその成果を表す関数を連立方程式の枠組みで推定し、中高年者の健康増進策を分析する。 2. 上記と同じデータを用いて、Kumagai(2014b)を完成させる。 Narimasa KUMAGAI, 2014b. Dissatisfaction with Caregiving and Mental Health of Co-residential Caregivers.
|