2013 Fiscal Year Research-status Report
市場融合環境におけるインフラ施設の整備・共同利用に対する公的介入と競争の研究
Project/Area Number |
24530285
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
水野 敬三 関西学院大学, 商学部, 教授 (40229703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80334879)
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Keywords | インフラ施設更新 / 接続料金規制 / バイパス / 投資誘因 / 参入阻止 / ブロードバンド |
Research Abstract |
平成25年度は三つの研究課題[A]財政面の資金制約のもとでのインフラ整備と資金調達問題、[B]双方向接続と一方向接続の融合環境におけるインフラ整備、[C]市場構造に対する公的介入がインフラ施設の整備と共同利用に与える影響のうちの[C]に関する二つの研究論文を作成・発展させた。 第一の論文は"Overusing bypass under asymmetric access regulation: the effect of strategic investment"である。これは昨年度作成した論文を改訂したものである。論文では「接続料金規制が課されると、インフラ施設を所有する既存事業者の最新インフラ施設(ブロードバンドなど)への更新投資誘因が小さくなる。その結果、新規参入者のバイパス設備使用誘因が大きくなり、それが既存事業者の利潤を低め、更新投資誘因がさらに小さくなる」という「過少投資の悪循環」メカニズムを指摘した。この論文はある審査制国際学術雑誌から改訂を要求されていたが、改訂後、平成26年4月中旬に再投稿することが確定している(論文タイトル一部変更済み)。 第二の論文は"Competition for access provision: Infrastructure upgrades with spillovers"である。これは昨年度初めから理論モデルの作成と分析に取り掛かり、平成26年1月下旬に第一稿が完成した。第一稿は平成26年3月下旬にポルトガルで開催された情報通信事業研究のワークショップで報告された。この研究はインフラ施設を所有する事業者間の自由競争下における接続提供誘因とインフラ更新投資誘因を理論モデルにより検討したものである。ワークショップ参加者からのコメントを生かし、改訂する予定である。 また、別に二つの関連する研究論文を学術雑誌に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題[C]については、既に二つの研究論文を作成済みであり、その一つである"Overusing bypass under cost-based access regulation: underinvestment with spillovers"は学術雑誌掲載・公表までの最終段階に来ていると感じている。 他方、研究課題[A][B]については理論モデル作成・分析と既存研究展望の間のフィードバック状態が続いており、必ずしも順調とは言えない。しかし、各研究課題の相互依存関係が強いため、[A][B]に関するモデル作成上のアイデアを[C]の考察から得ている。特に[B]については研究会・ワークショップ等で他の研究者の関連研究を討論する機会に恵まれたため、自身のモデル分析のための重要なヒントを得たように感じている。最終年度である次年度は集中的に[A][B]の論文作成に取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは課題[C]の二つの研究論文を審査制学術雑誌に確実に掲載させたい。課題[B]についてはモデル分析・考察を終了し、8月中旬までに第一稿を完成させる予定である。その後、幾つかの研究会・セミナーで報告する予定である。 [A]についても第一稿完成を第一の目標としたい。[A]については資金調達理論分野の研究者から専門的知識を提供してもらい、11月下旬までには第一稿を完成させたい。
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