2012 Fiscal Year Research-status Report
ネットワークインフラ整備の制度と構造分離に関する分析
Project/Area Number |
24530286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuyama Heisei University |
Principal Investigator |
浦西 秀司 福山平成大学, 経営学部, 准教授 (80362820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 文俊 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60263365)
中山 徳良 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90278854)
田中 智泰 近畿大学, 経営学部, 准教授 (20511182)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 上下分離 / 規制政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ネットワークインフラの整備と維持管理に関する諸問題について、制度、理論、実証といった複数アプローチからの分析を行うことである。 各テーマに関連する平成24年度の研究成果は以下の通りである。 まず、3つのアプローチ全般に関連するものとして、水谷は、電力事業における発送電分離について、垂直統合の経済性を検証した実証分析をとりまとめ、評価を行った。その結果、先行研究の多くが垂直統合の経済性が存在していることが明らかとなったが、その成果を論文としてまとめたものが「国民経済雑誌」誌に掲載されている。 次に、実証アプローチによるものとして、水谷と浦西は、ヨーロッパおよび東アジアのOECD加盟国における鉄道事業者のデータを用い、上下分離の費用削減効果に関する実証分析を行った。その結果、上下分離の導入がもたらす費用削減効果は各鉄道事業者の列車密度によって影響を受け、列車密度の低い事業者では費用削減効果があるが、列車密度が高い事業者では費用を増加させる要因となっていることが明らかとなった。その結果を論文としてまとめたものが査読付き英文雑誌であるJournal of Regulatory Economics誌に掲載されている。 また、実証アプローチによるものとして、中山は、わが国の水道事業を対象とした事業合併による潜在的利得の推計を行い、その分析結果を公益事業学会関西部会例会において報告を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画では分析対象となる産業のネットワーク整備に関する現行の規制制度について取り上げている学術論文の文献サーベイおよびデータ収集を行うこととなっていたが、文献サーベイについては水谷が電力事業における実証研究に関する文献サーベイを行ったものを論文として取りまとめているとともに、中山、田中、浦西も関連文献およびデータの収集を計画の通り進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、文献調査や初期分析において設定した検討すべき項目の分析を行う。すなわち、ネットワーク産業への上下分離導入に関する諸問題について、制度、理論、実証の各アプローチからの分析を行う。また、分析にあたっては、主として我々がこれまで郵便や鉄道、高速道路などを対象に行ってきた実証分析手法を用いるが、それ以外にも制度分析や経済モデルを用いた理論分析などを取り入れることも検討している。現在可能と考えているのは、Mizutani and Uranishi (2008)で用いた確率フロンティア関数や、Mizutani and Uranishi(2010)で用いている計測手法を用い、電力産業などのネットワーク産業における上下分離が費用構造に与える影響の分析を行うことである。また、Mizutani and Uranishi (2003)で行っている要因分解手法を用い、事業者の生産性に与える影響について分析することも考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析手法の精緻化に関する研究打ち合わせのための旅費を計上する。学会で発表するための旅費(30万円)を計上する。また、統計データコピー費(3万円)、データ・資料の整理費としてRA経費(15万円)と、外国論文校閲費1篇(15万円)を計上する。
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Research Products
(7 results)