2014 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワークインフラ整備の制度と構造分離に関する分析
Project/Area Number |
24530286
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
浦西 秀司 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (80362820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 文俊 神戸大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60263365)
中山 徳良 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90278854)
田中 智泰 近畿大学, 経営学部, 准教授 (20511182)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 構造分離 / 費用 / 経済成長 / 鉄道 / 電力 / 郵便 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ネットワークインフラ整備の制度と維持管理に関する諸問題について、制度、理論、実証といった複数のアプローチからの分析を行うことである。このような問題は、鉄道や水道、電力、都市ガスといったネットワーク産業を対象とした構造分離をともなう競争政策の導入に際しての重要な検討課題である。本研究の分析結果に基づき得られる知見は、今後のわが国のネットワーク産業において競争政策の導入または拡大を検討する際の持続可能な制度設計に有用な情報を提供するものであると思われる。 本年度は電力、鉄道および郵便を対象とした定量的および定性的な分析を行っている。まず、電力については、電力産業における規制改革の効果に関する先行研究についてまとめるとともに、OECD加盟34カ国を対象に1991年から2007年の17年間にわたる非バランスパネルデータを用い、発送電分離や卸電力市場の有無等の構造分離に関する諸政策が各国の一人当たり経済成長率に与える影響についての実証分析を行っている。その結果、構造分離に関する政策変数については、供給者選択の可能性が大きいことと卸電力市場が設置されていることが一人当たり経済成長率に対してプラスの影響を与えているという結論を得ている。 また、鉄道については、EU加盟各国を中心に進められている機能分離および上下分離が事業者の費用に与える影響について、定量的および定性的な両方の方法を使用した分析を行っている。その分析結果はいくつかの論文にまとめられているが、政策の観点から我々の調査結果は、すべてのEU加盟国に上下分離を課すことを目指す政策は産業全体としての費用を増大させるという結論を得ている。 最後に、郵便については、日本、イギリス、フランス、ドイツ、米国における郵便事業の規制政策や各国郵便事業体の組織構造および経営戦略の比較を行っている。
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Research Products
(9 results)