2012 Fiscal Year Research-status Report
省エネ住宅の普及に関する政策効果測定と最適政策の考察
Project/Area Number |
24530292
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanazawa Seiryo University |
Principal Investigator |
藤澤 美恵子 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (10502320)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 住宅エコポイント / 断熱性能 |
Research Abstract |
2012年度は、基本的情報の収集と整理をおこなった。また先行研究調査をおこない、改めて他の先行研究と本研究の相違を確認した。その上で、研究の方向性について構築し、研究計画を定めて、その実現性の検証を行った。 まず、以前からの研究の成果として、2012年11月に都市住宅学会にて「エネルギー証明書を利用した省エネ住宅普及の可能性」の論文発表を行った。これは、エネルギー使用量を表示するようになるわが国の制度改革にあたり、ドイツ事例を調査しわが国の住宅性能評価制度等と対比して考察したものである。 2012年における調査研究として、省エネルギー住宅の普及政策として実施されている住宅版エコポイント制度について詳細に調査を行った。このエコポイント制度の利用件数の推移と累計エコポイント数について考察し、累計エコポイント数を新たな投入金額として産業連関分析を行い、経済波及効果を分析した。その結果、経済波及効果としては大きいものの、本来の目的であるCO2削減に関する点では、新築に使用しやすい制度設計となっているために効果が半減されていることが分かった。 この分析については論文「省エネ住宅普及政策がもたらす効果の測定」として2013年6月7日にエネルギー・資源学会にて発表する予定である。さらに、会場コメントを反映して本年度投稿論文へ仕上げる予定である。 上記の作業に並行して、住宅版エコポイント利用者を対象にインターネットアンケートを実施する予定であり、準備を進めている。新築とリフォームの利用者を対象に、制度の評価や住宅の評価または満足度などを比較分析し、省エネ住宅の普及にあたって必要となる制度の在り方について、もしくは制度の工夫について提言をまとめる予定である。なお、このアンケート結果を論文にまとめ学会誌に投稿する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は、省エネ住宅化を進める支援制度の政策効果を定量的に明確にすることである。そのために、まずエネルギー使用量に関する不動産広告制度と住宅版エコポイント制度について研究を進めている。さらに、省エネ住宅普及に関するヒアリングを、先進的事例を多く持つEU諸国を中心に行う予定である。これらの進捗は、特に問題なく基本計画に沿って遅行なく実施されていることから、おおむね順調に進展していると判断している。 研究の成果として、2012年11月に都市住宅学会にて「エネルギー証明書を利用した省エネ住宅普及の可能性」の論文発表を行った。また、2013年6月7日にエネルギー・資源学会にて「省エネ住宅普及政策がもたらす効果の測定」を発表する予定である。 本年度は海外ヒアリングならびにインターネットアンケートを実施する予定で準備が順調に進んでいる。海外ヒアリングについては、イギリス・フランス・ドイツならびにEU本部にジェトロ等を通じアポイントメントの依頼をしているところである。インターネットアンケートに関しては、設問の設計を繰り返して確認しているところである。 また、アンケート対象者に関しても、複数のインターネットアンケート会社に問合せをして、対象となるモニターの出現率の確認が終了している。これらの情報をもとに、今後はインターネットアンケート各社に見積もり依頼をおこない、選定し会社の確定の作業を経て、アンケートの実施へと進める予定である。 なお、本年は研究成果に関して、ホームページを立ち上げ積極的に研究成果を開示する予定である。そのためのソフトの購入をおこないコンテンツの作成を現在行っているところである。また、研究成果の学会発表等を行う予定であり、すでに複数の学会発表にエントリーしている状況である。また来年に向けて、国際学会での発表を意識し、準備を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在研究がおおむね順調に進展していることから、本年も基本計画に従って進める予定である。これに加え、特定地域の省エネ住宅普及政策である石川省エネパスポートについても調査研究する。具体的な計画は以下のとおりである。 ①ヒアリング調査。先進事例の収集のために海外ヒアリング調査を実施する予定である。先進事例の収集は、イギリス・フランス・ドイツならびにEU本部に赴き、ヒアリング調査を行う。ヒアリングの内容は、エネルギー使用量の不動産広告の表示方法、そのルールや関係法規の確認、さらにエネルギー使用量が表示されるようになって不動産価格のどのような変化があったのかを確認する。できれば、分析対象となるデータの収集も試みる。同時に、EU本部で今後のゼロエネルギー建築に関する法規や誘導政策に関する最新情報を収集する。これらは、本年よりエネルギー使用量を表示し始めるわが国の不動産の情報開示の影響力を推計する基礎データとして利用する。 ②インターネットアンケート実施。インターネットアンケートを実施する予定で準備が順調に進んでいる。住宅版エコポイントの利用者を対象にアンケートを実施し、そのアンケートデータから、エコポイントによるCO2削減効果や消費者の認知度を推計する。その上で、住宅版エコポイントが果たした効果と政策としての改善点などを明確にしていく。 ③石川県の省エネ住宅政策の調査。「いしかわ省エネパスポート制度」は国の基準より上の住宅断熱性能の向上を目指して施行された。この制度により地元工務店の社員教育と断熱性能が向上する兆しを示しており、地域の成功事例として調査する予定である。 ④学会でも発表。以上の研究成果を報告書や論文にまとめる予定である。国内ならびに国際学会にて積極的に発表する予定である。 ⑤HPの作成。ホームページを作成してこの成果(報告書や論文)を広く告知する活動もおこなう予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費は、上記の今後の研究の推進方策に沿って以下のように使用する予定である。 ①海外ヒアリングについて旅費、ヒアリング費用等として使用する。具体的には、イギリス・フランス・ベルギー・ドイツに赴く航空券費用、各国を周遊するための鉄道費用、宿泊のためのホテル費用、ならびに諸経費である。ヒアリング調査を確実にするために現地の研究者の同行を依頼する予定であることから同行支援費用や電子辞書などの費用を使用する予定である。 ②インターネットアンケートについてアンケート設計料をはじめとする運営や初期の集計などの調査費として使用する予定である。 ③「いしかわ省エネパスポート制度」が地元工務店の社員に与えた影響や売り上げに与えた影響を計測するために紙面のアンケート調査を行う予定であり、これらの印刷・郵送代や数サンプルのヒアリング調査などに費用を使用する予定である。 ④学会の発表のための旅費・宿泊費用等として使用する予定である。 ⑤ホームページ作成に関しては、PDF化を容易にするコンピュータソフトを購入する予定である。
|