2014 Fiscal Year Research-status Report
多地域・多機関交通ネットワークの規制緩和と構造分離・競争のあり方に関する研究
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24530295
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 雄一朗 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (70339919)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 交通政策 / 機関選択 / 空間計量経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は前年度に引き続いて、空間的な広がりを持つ複数の交通機関による交通ネットワークにおける産業構造の把握するために、主に実証的な分野から下記に挙げられるような一連の研究を行った。まず、航空と鉄道の包括的な研究として、軌道や空港の建設ならびに車両ストックの製造までをも含んだライフサイクルでの生産効率性を比較し、分析結果を公刊した。さらに、インドネシアにおける都市間交通の空間的広がりを空間軽量経済学の手法を用いて測定し自動車による国道の利用が主に同一都市内に限られていることを結論として得た研究を、国際学術雑誌に投稿した。また以前の研究実績である一般廃棄物の静脈物流における生産効率性を測定した研究のフォローアップとしては、立教大学の一ノ瀬大輔氏ならびに富山大学の山本雅資氏と共著で、静脈物流政策の政策に潜在する空間相関を考慮した所得と廃棄物産出の空間軽量経済学的分析を国際学術誌に公刊した。これに関連して、空港などのNIMBY施設のひとつである廃棄物処理場の立地が政策によりどのような影響を受けるのかを分析した研究をハンドブックに公刊した。また、高速道路に並行する専用軌道を持つ公共交通を導入した都市圏における通勤時間費用の削減の効果の分析を、現在スリランカの首都であるコロンボにおいて導入が検討されているモノレールをケースとしたシミュレーションを通じて行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は様々な交通機関や交通流動に関する実証分析を下記のとおり国際的な学術誌あるいはハンドブックにおいて公刊した(すべて査読有り)ことをもって上述の判断とする: “The Decoupling of Affluence and Waste Discharge under Spatial Correlation: Do Richer Communities Discharge More Waste? (with Daisuke Ichinose and Masashi Yamamoto)," Environment and Development Economics, volume 20, issue 02, pp. 161-184. “Social efficiency measurement and comparison of airlines and railway companies in Japan's domestic intercity travel market (with Tae H. Oum and Somchai Pathomsiri),” Research in Transport Economics: Intercity Transport and Climate Change: Strategies for Reducing the Carbon Footprint, Yoshitsugu Hayashi, Shigeru Morichi, Tae Hoon Oum, and Werner Rothengatter Eds., Springer, January 2015. "Does the NIMBY strategy really promote a self- interest?: Evidence from England's waste management policy (with Masashi Yamamoto)," Chapter 6 in Handbook on Waste Management by Thomas C. Kinnaman and Kenji Takeuchi, Edward Elgar Publishing, 30 May 2014.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、混雑した高速道路と公共交通との代替を想定した基本的な二機関モデルをベースとして料金、建設延長、整備容量といったさまざまな政策がもつ効果をシミュレーション分析を用いて定量的に分析していく。具体的には、最近の経済成長に伴い都市部における交通渋滞が悪化している多くの途上国の主要都市のなかからモノレール建設の計画にともないFeasibility Studyが行なわれているスリランカのコロンボ市をケースとして需要や時間価値パラメータを収集し、(1)そこへの代替公共交通機関の建設が通勤における総通勤時間費用の削減にどのような効果があるのか、(2)このような効果を最大化するために必要な公共交通インフラ投資規模はどれほどになるのか、また(3)混雑課金の有無により総通勤時間費用削減の便益はどの程度異なるのか、などについて、定量的に分析する。さらに広域交通ネットワークにおける需要ショックが交通流動に与える影響についても、NEXCO西日本と研究協力しながら、実証的に分析をすすめていく。ここではNEXCO西日本との研究協力のもと、中国地方における観光イベントなどがもたらす一時的な需要ショックを自然実験的な統計的変動として利用することにより、広域な高速道路ネットワーク上での交通流動の変化を観察し、それらを各地点のネットワーク上の空間的特性、地理的特性や利用者の属性などによって説明することを試みる。方法としては主にETC情報にもとずく高速道路利用者のミクロデータを家計調査などの一般的な地域データを組み合わせて分析を行なう。
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Research Products
(3 results)