2012 Fiscal Year Research-status Report
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24530302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
古松 紀子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60293685)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済政策 / 教育政策 |
Research Abstract |
本研究は、経済学のみならず心理学や学校経営学等の複数分野にまたがるため、各分野における研究成果や資料収集が必要となる。本年度はまず、教育経済学と数理経済学及び学校経営学に関する過去の研究成果を中心に資料を収集し、各分野の知識の深化につとめた。 また併せて、シンプルな経済モデルの構築に取り組んだ。その際、モデルが満たすべき条件として次のことを考慮した。(1)教育選択の合理的な行動が明示的に取り込まれている、(2)個人の教育への選好を導入してもダイナミクスの発生が崩れない、(3)教育への補助金のあり方など政策課題が議論できる、(4)実証的結果と矛盾しない、の4点である。ただし(4)は併せて行う実証分析の結果が必要となるため、その検証は次年度以降に行う。特に今年度取り組んだ私立大学に関する実証分析は、先行研究と異なる結果が導かれており、この検証自体を慎重に行う必要があるため、次年度も継続的に作業を行う。 研究補助者(1名)には、文部科学省や国公私立大学のホームページ、および公刊されている情報誌から必要な情報を収集してデータ整備を進めてもらった。今年度揃えたデータは各大学の財務諸表や定員充足率などである。この作業は次年度以降も継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画が当初のものより遅れたのは、理論モデル構築と併せて行っている実証研究が、思うようにはかどらなかったためである。特に、日本の私立大学における規模の経済と範囲の経済の存在についての検証結果が従来の研究結果と異なってでたため、推計方法に誤りがないかどうかを再検討するのにかなりの時間を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を継続する他、次のことに取り組む。(1)個人の教育選好を内生化したモデルの動きと外生的に扱っていたモデルの動きにどのような差異が生じるかを調べる。特に内生変数とした場合の動学経路が外生変数としたときの均衡に収束しない場合の教育政策の可能性を探る。(2)データベースを完成させ、大学データに基づく個人の教育選好の決定要因に関して実証分析を行う。本年度は私立大学に関して行ったが、今後は国立大学法人に関しても同様の分析を行っていく。そして実証分析を通じて得られる教育選好が大学教育需要の動向にどの程度の説明力をもつかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は実証研究の検証にかなりの時間を使い研究計画が遅れたために、当初予定していた予算の使用が行えなかった。次年度は、まず今年度からの繰り越しとして高速の処理能力を有する計算機と計算ソフトを購入し、心理学関係および学校経営学関係の図書を購入する。 また、今年度から取り組んでいるデータベースを完成させるため、研究補助者(月30時間)を継続して一人雇用する。 研究2年目であるので、一定の成果がでたものは国内外の査読付き学術誌に投稿をしていく。そのために外国語論文の校閲や投稿料などが必要となる。
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