2014 Fiscal Year Annual Research Report
経済発展におけるICTの進展が経済格差を生み出すプロセスの経済分析とその解明研究
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24530308
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
片桐 昭司 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (30274418)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 所得格差 / ICT / 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年構築したモデルを用いて、より整合性のある手続きのもとで新たにシミレーションを行った。昨年は、内生変数の非ICT資本財が最終財に振り向けられる割合をパラメーター扱いとしてシミュレーションを行ったが、今年度はICT部門に関連するパラメーターと上述の内生変数との関係をシミュレーションし、その結果を用いて経済成長率との関係を明確にした。なお、2部門を設定したことにより2つのケース(最終財生産部門における非ICT財の集約度をα、ICT財の集約度をβ、ICT財生産部門における非ICT財の集約度をλ、ICT財の集約度をεとして、ケース1はα>λおよびε<β、ケース2はα<λおよびε>βとする)に分けて分析した。その結果を以下に示す。(1)ICT財生産における効率性のパラメータが上昇(低下)すれば、経済成長率は2つのケースとも減少(増加)する。ただし、2つの資本財の初期値が大きい場合は、当初の初期値の場合と比較して、経済成長率はケース1で減少し、ケース2では増加する。(2)集約度λが増加(低下)すれば、経済成長率はケース1では減少(増加)するが、ケース2における経済成長率の増減は未確定になる。(3)集約度εが増加(低下)すれば、経済成長率はケース1では増加(減少)し、ケース2における経済成長率の増減は未確定になる。(4)以上の結果より、経済成長率を高めるための経済政策として、ICT資本財と非ICT資本財の初期値およびICT財生産におけるICT資本の集約度を高めることがあげられる。これらの結果より、ICTの集約度の違いが経済格差に影響を与えることが確認できた。 最終年度で行う予定であったミクロ・モデルの構築は現在進行で、また実証研究に関してはICTに関する時系列資料(21ケ国、28年間)を収集したが、それらデータと経済成長(国民所得)を用いた重回帰分析は現在進行中である。
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