2012 Fiscal Year Research-status Report
政治的競争が政策選択に与える効果:理論的分析とインドにおける実証研究
Project/Area Number |
24530313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 篤史 青山学院大学, 経営学部, 教授 (00286923)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 政治的競争 / 政策選択 / インド |
Research Abstract |
2012年度には既存研究のサーベイと理論モデル化、データベースの構築を進めた。インドの州レベルにおける政治的競争のあり方に影響を及ぼす要因は当初想定していたよりも多様であることが明らかとなり、政治学の領域の既存研究の文献を広く読み進めている。また、私が関心を持っている州レベルの経済パフォーマンスに影響を与える政策も、産業、教育、医療、インフラに関わる政策だけでなく、汚職対策、治安対策など幅広い政策を含むことが明白になった。このように調べなければならない文献はたくさん残っているが、政治的競争が多様な政策選択に与えるインパクトを分析するためのモデルに組み込まれるべき諸要素は取捨選択してきている。 一方で、理論仮説を実証するためのデータセットの構築も進んでいる。Annual Survey of Industriesのデータを用いて各州の製造業の経済パフォーマンスを表すデータを最近のものまで拡張してきているとともに、IndiaStatのデータを用いて政治的競争に関連する社会経済指標をデータセットへ組み込む作業を行ってきた。今後も、各州から選出された議員の犯罪歴のデータなどを加えていく予定である。 研究プロジェクトの重要な1つの柱である現地調査は、2012年度に2回実施した。2012年8月29日から9月7日に、コルカタ市とデリー市において現地調査を行った。現地企業、業界団体、政府関連機関、大学、研究所などを訪問し、企業活動に影響を与える政策について多様な見解を得ることができた。また、2012年12月23日から31日までデリー市において現地調査を行った。特に、競争政策に関しての政治経済的な決定過程について、競争当局、関連政府機関、業界団体、法律事務所、大学、研究所などを訪問して、非常に有意義な情報を収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データセットの構築、理論モデル化はほぼ予定通りに進んでいる。ただ、研究を進めるにしたがって、当初想定したよりも複雑な社会構造的な要因がインドの州レベルの政治的競争に影響を及ぼしていることが明らかになってきた。そのため、政治学の領域においてさらに多くの既存研究の文献を精査する必要が生じており、その結果によっては理論モデル化に予定より若干時間がかかる可能性がある。また、それに伴って実証研究に用いるデータセットのデータ項目を増やす必要が生じて、データセットの構築により多くの時間が必要になる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度前半には、これまでの成果を踏まえて、政治と経済を統合する理論モデルの精緻化を進める。また、主としてAnnual Survey of IndustriesやIndiaStatなどのデータベースを利用して、インドの州レベルにおける政治と経済に関するデータ・セットの整備をさらに進める。8月~9月に、2013年度1回目のインド現地調査を行い、現地において必要なデータ収集と、政府機関、産業団体、研究機関などでのヒアリングを実施する。 2013年度後半には、現地調査のヒアリング結果に基づき、理論モデルの再検討を行う。また、現地で収集したデータの入力・整理・加工を行い、計量分析を実施する。そして、2月~3月に2回目のインド現地調査を行い、追加的なデータ収集を行なうとともに、現地政府機関、産業団体、研究機関等において、それまでの中間的な研究成果を発表し、意見交換や情報収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は以下のような使途に研究費を支出する予定である。 1)IndiaStat、Prowess、Annual Survey of Industriesのデータセットの利用代金に多くの研究費を支出する。2012年度はこれまでに収集したデータの整理に時間を割いたが、2013年度は最新データの追加を行うことが必要なため。 2)2回のインド現地調査のための旅費として使用する。2次的なデータや文献からは得られない現地の情報を収集するために現地調査は不可欠である。 3)データの整理・加工などの作業をしてもらう学生アルバイトに対する謝礼として支出する。 4)論文の英文校正費として使用する。論文原稿の英文を正しい表現のものにするために英文校正を行うことが必要になるため。
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