2014 Fiscal Year Research-status Report
政治的競争が政策選択に与える効果:理論的分析とインドにおける実証研究
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24530313
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 篤史 青山学院大学, 経営学部, 教授 (00286923)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 政治的競争 / 政策選択 / 産業化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、年度前半に研究成果の研究会等での発表と、成果の一部に関してまとめた論文の大学の紀要での発表を行った。年度後半には、より詳細な研究成果をまとめた論文を国際的な学術雑誌へ投稿した。それらの機会を通して得たコメントを踏まえて、さらに理論と推計モデルの精緻化を行った。具体的には、例えば、従属変数のうち開発支出の割合と武装警官の割合を産業化政策を推進する程度を測定する変数として用いることの適切性について、学術雑誌の査読レフェリーより疑問を投げかけられたので、主に電力と道路などインフラストラクチュアの整備状況に関連した変数に焦点を絞って推計を行っていくことにした。また、産業部門の政治的影響力をとらえる説明変数に関して、州ごとのGDPに対する産業部門の生産高の比率だけではなく、産業部門で働く労働者数の全労働人口の比率の相対なども使うようにコメントをもらったので、そのような変数も新しく作成し推計を行った。さらに、産業部門全体に関して集計された値を説明変数として用いると、説明変数と従属変数の双方に影響を与える第3の変数が存在する恐れがあるため、説明変数を製造業のみに関連する変数に絞ることも検討中である。 新しい推計結果はこれまでの結果と概ね同様であり、産業部門の政治的影響力が強まるに伴って産業化を推進する政策が選択され実施されるという推計結果を得ている。この推計結果は、経済発展のために産業化が求められる最貧困国において、まさに産業部門の政治交渉力が小さいために、産業化政策が十分に実施されないという貧困の罠に陥っている可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
政策選択をめぐる政治的競争において、選挙での票数やロビー活動において産業部門が交渉力を握るようになると、産業部門に有利な政策が選択され実施されるという仮説と整合的な実証結果を得て、論文の形にまとめることができた。しかしながら、国際的な学術雑誌に投稿したものの、現時点での論文の弱点を指摘され、掲載にまではまだ至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
論文を投稿した国際的な学術雑誌の査読レフェリーから指摘を受けた論文の問題点に対処して研究を深めていく。具体的には、産業部門の政治的交渉力をとらえる説明変数をさらに精緻なものに変更し、産業化を促進する政策の程度をとらえる従属変数についても電気・道路などのインフラストラクチュア関連の変数に焦点を当て、それらの変数に特有の政治経済的背景の理解をより一層深めながら、推計に用いる諸変数を信頼性の高いものにしていく予定である。また、査読レフェリーの指摘を踏まえながら、さらに推計モデルの工夫をしていきたい。
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Causes of Carryover |
本プロジェクトの初年度に大学内で重要な役割を担当していたため、そちらの仕事に多くの時間を割かざるを得ず、計画通り研究を進めることができなかった。その結果、2年目以降はほぼ順調に研究を進めることができたが、最終年度まで初年度の遅れが影響を与えてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度使用額はインド現地での論文発表と資料収集のための渡航・滞在費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)