2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530319
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山谷 修作 東洋大学, 経済学部, 教授 (00105024)
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Keywords | ごみ処理経費削減効果 / ごみ有料化 / 収集運搬費 / 中間処理費 / 再資源化費 / 最終処分費 |
Research Abstract |
3R意識の浸透を受けて全国的にごみ量が減少に転じた2000年度以降に家庭ごみを有料化した自治体における有料化導入によるごみ減量に伴うごみ処理4部門別の経費削減効果を調査し、政策的観点から分析した。有料化実施によるごみ減量効果については研究代表者の調査をはじめ数件の調査知見が示されてきたが、ごみ減量を通じて実際にごみ処理経費の削減がもたらされたかどうかの調査はこれまで存在しなかった。今回の調査では、有料化自治体約200団体からのアンケート有効回答を子細に分析し、また経費削減効果を上げた自治体への電話聞き取りやヒアリングを実施して、次の知見を得た。 1.収集運搬費は、ごみ量が必要車両台数を減らせるだけ減少した場合に確実に削減可能となる。車両台数の削減にまで至らない場合には、ごみ減量が経費節減に結び付いていないケースが少なからず存在した。一方、有料化の実施と同時または前後して①新たな資源品目の分別収集、②集積所収集から戸別収集への切り替えなどの事業を併用する場合には、収集運搬費は逆に増加していた。 2.再資源化費は、有料化実施により資源の分別が促進されて資源量が増加すること、また併用施策として新たな品目の資源化が実施されることもあって、有料化導入後に増加する傾向が確認された。 3.中間処理費は、焼却施設や破砕施設の減価償却費、維持管理費、組合負担金など固定費の比率が高く、電力費や薬剤費など運転費の節減が見込めるものの、有料化導入によるごみ減量を直接、大幅なコスト削減に結び付けることは難しい。しかし、老朽施設の更新期にある場合には、施設規模縮小により、大幅な経費削減が可能となる。 4.最終処分費は、処分場がなく域外に処分委託する自治体の場合、ごみ減量による経費節減効果が大きく出た。 自治体は財政が厳しさを増す中で、有料化導入によるごみ減量を経費節減に結び付けるよう戦略性を重視する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全国の家庭ごみ有料化自治体からの調査アンケートに対する回答率が当初想定した以上に高く、また調査結果の情報発信については、研究代表者のホームページに掲載し、また年間を通じて月刊誌に連載したので、全国の自治体廃棄物担当者に情報を提供することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
家庭ごみの可燃ごみ組成をみると、生ごみや草葉枝の有機ごみが全体のほぼ半分を占めている。ごみの減量を究極的に推進するためには、生ごみ分別回収・資源化への取組が避けて通れない。家庭ごみ有料化と生ごみ分別回収を組み合わせた取組は、韓国やカリフォルニアなどで開始され、日本でも一部自治体が取組に着手した。これまでの家庭ごみ有料化研究をさらに一歩進めて、バイオガス化など生ごみ資源化と組み合わせた場合のごみ減量効果、コスト効果、立地に伴う住民合意形成などについて研究範囲を拡大することを予定している。
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Research Products
(6 results)