2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530322
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
安土竜 デウィット 立教大学, 経済学部, 教授 (80281757)
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Keywords | 再生可能エネルギー / 固定価格買取制度 / 省エネルギー / スマートシティ / 米軍 / 政治経済学 / 環境政策 / 比較研究 |
Research Abstract |
再生可能エネルギーの固定価格買取制度から2年が経過した。国内外でめまぐるしい政策の変遷が見られ、それに伴い、同時に重要性が高まっている。 大きな枠組みとしては、1.固定価格買取制度や関連政策の海外比較を継続している。東アジア、北米、EUの国々およびイスラエルにおける政策研究が中心である。また2.スマートシティを中心とした地方自治体における再生可能エネルギー促進政策や導入状況を調査している。 25年度は引き続き、米国の現状について、エネルギー転換を急速に進める米軍と、恊働する州政府や基礎自治体について調査するとともに、エネルギー転換における米軍と企業や他国の関係にも焦点を当てた。またICT分野での技術革新が盛んであったこともあり、ICTと再生可能エネルギー分野のネクサスが見られ、この政策形成も調査した。 加えて、固定価格買取制度が効果的であったのかについて、世界最先端のイノベーション能力を持つ、軍隊の主導によるエネルギー転換を行うイスラエルをケーススタディとして研究を行っている。固定価格買取制度が「必ずしも」効果的ではない事例であり、そこには縦割り行政などの問題が密接に関わっている。 さて、具体的な研究実績についてはJeff Kingston編『Critical Issues in Contemporary Japan』(Routledge)の『Japan’s Renewable Power Prospects』、『3.11 and Japan’s Shift to Smart, Distributed Power』、(NBR Asia Policy)、『Abe, Big Data and Bad Dreams: Japan’s ICT Future?』(Japan Focus)などを執筆し、北海道大学(「環境エネルギー革命の政治経済的分析:日本とアメリカの比較から」、リスク・プロジェクト研究会、2013年8月19日)での講演を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年の震災によりエネルギー政策に対して引き続き注目が集まっているが、2012年の固定価格買取制度が導入されて、特にインタビューの機会や記事、論文の依頼は増えている。また、昨年度から特に、米国におけるICTや再生可能エネルギー、省エネルギーを中心とした軍・産・地方複合体の動向についても多くの記事や論文を書く機会を得ており、研究成果が上がっている。 一方で、固定価格買取制度が適切な政策だったのかどうかというそもそもの議論も研究の視野を拡げたことで分析できつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、再生可能エネルギー促進政策の動向について国内外のケーススタディを分析する。25年度も分析を行った日本、米国とイスラエルなどについての研究を行う。日本については、固定価格買取制度の動向と、市民主体のコミュニティパワーおよび大企業中心のメガソーラーやスマートシティの行方について研究を行う。米国とイスラエルについては、軍隊と協働する連邦政府、地方自治体、および企業の動向について調査する。また、最終年度であるため、固定価格買取制度の有効性について、新たに明らかになったことも含めて、政治経済学的な観点から、整理したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が比較的効率よく行なえたため。 次年度は今年度と同様に、書籍購入費や国内外での調査等に使用するとともに、国際会議(あるいは関連する講演会等)を開催するために予算を使用する予定である。また最終年度であるため、取りまとめ作業にも含めて予算を使用する予定である。
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