2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
春日 教測 近畿大学, 経営学部, 准教授 (50363461)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メディア / 情報 / 効率的市場 / 個人投資家 / 国家補助規制 / 周波数オークション |
Research Abstract |
本課題においては、特にテレビを中心とする放送情報が株価など経済指標・非経済指標にどのような影響を与えているかを定量的に明らかにすることが最終目標である。 初年度においては、研究の前段として、現在の放送市場の特徴と変化への圧力、それに対応するため市場原理の採用が求められている状況を、欧州における国家補助規制と欧米における周波数オークション制度に係る制度整備を事例に概観し、メディア論や表現の自由といった伝統的に主流な支店だけでなく、経済学的な分析の必要性が高まっている状況を指摘した。 また中核となる研究については、まず「経済学におけるメディアと情報」という観点からメディア普及が人々の行動に与えた影響を分析した先行研究についてサーベイした。新聞発行部数('58-'92のインド16州)やラジオ普及率('30の米国各州)の相違が政治家のインセンティブに影響を与え、実際の必要性よりもメディア露出が高い地域に多く政府援助金の配分をもたらし歪みを生じさせたとする結果を得るとともに、テレビ番組との関係について直接検証したものは殆ど存在しないことを確認した。 さらに、被説明変数に流動性指標の①スプレッドと②デプスを用いた推計を行った結果、情報流入がスプレッドを拡大させる、取引量も拡大させる、との暫定的な結論を得ている。現在複数の学会・研究会等でのコメントも踏まえその解釈について検討しているところであるが、特にスプレッドを拡大させる点についてどのようなメカニズムが働いているかが難しく、TV番組という一般向け情報が個人投資家の参入を促し、それが株式市場における何らかのバイアスをもたらす、いわゆる市場に対する「ノイズ」となる可能性も考えた効果を検証していく予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の放送市場の特徴と変化の方向性を幅広くまとめた論考を書籍の一章として刊行できた点、論文執筆途上ではあるもののデータを用いた暫定的な推計値まで得られている点では、研究初年度として順調に推移しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
分析の深化を求められているTV番組がもたらす一般向けの企業情報が、主な受け手として想定される一般投資家に対してどのような影響を与えるのか、またその結果として情報トレーダーの行動と市場にどのようなバイアスをもたらすのか、等について分析・考察を深めていく予定である。 その一環として、テレビ情報と株価を直接的に結び付けるものの一つの候補として、CM情報の分析を検討している。こうしたデータの整備・解析も同時並行的に行いつつ、補完的な材料としてディスカッション・ペーパーの段階となっている論文を公刊できるよう努めていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記CM情報は、CMを提供している企業情報や業種情報のみならず、放送される時間帯や放送時間(秒数)、頻度、製品種類等に関する詳細な情報が必要となるが、自らそうした情報を収集・整理することは困難である。長期効果を見るため数年分のデータを購入する必要があり、一定の研究費を用いることとしている。残りは文献購入費および研究発表のための旅費等に利用する予定である。
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Research Products
(4 results)