2012 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国における財政赤字解消のための財源調達手段と経済成長に関する研究
Project/Area Number |
24530333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
北浦 康嗣 法政大学, 社会学部, 准教授 (90565300)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済成長 / 海外援助 / 累積債務問題 |
Research Abstract |
金融論や経済成長理論の整理を行った。金融論については、まず通貨発行益(シーニョリッジ)について基礎的な知識を確認した。その後、van der Plong and Alogoskoufis (1994)、Parivos and Yip (1995)やHung (2005)を中心にサーベイを行った。文献調査の過程で新たにVarvarigos(2010)やC.-H. Lu et al (2011)の論文を検討した。 とくに、C.-H. Lu et al (2011)はサブサハラアフリカの国々を想定したキャッシュ・イン・アドバンス制約(CIA制約)のもとで、経済成長と平均インフレ率との負の関係を経済理論的に示している研究である。しかしながら、本研究が想定している通貨発行益(シーニョリッジ)が経済成長に与える効果については分析されていない。これらの結果は応募者自身が想定していた分析に対して補強できる内容であることを確認することができた。 経済成長理論においては、Kitaura (2012), Education, borrowing constraints and growth, Economics Letters, vol. 116(3), 575-578.などの成果を出すことができた。この論文は、教育資金における借入制約が経済成長にどのように影響を与えるのかを分析したものである。この成果は金融論との融合する際に有益な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、インフレーションと経済成長、海外援助と経済成長という2つの論点を統合する必要がある。したがって、2ヶ年程度でインフレーションと経済成長、そして、海外援助と経済成長の関係を明らかにし、最終年度には、これらの研究から得た知見をもとに2つの論点を統合したモデルを構築する。 研究1年目は主に金融論や経済成長理論の確認・整理を行うことで、インフレーションと経済成長の関係を明らかにすることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は海外援助と経済成長に関する研究を中心に行う。これまでの国内・国外の研究により、海外援助は経済成長に対して必ずしも効果があるわけではないことが知られている。その原因の1つである、海外援助のファンジビリティー(資金流用性)に焦点を当てて研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
とくに国内旅費および海外旅費の使用を考えている。昨年は国内の研究集会および研究打ち合わせに参加することができたが、海外の研究集会には参加できなかった。積極的情報収集を図るためにも海外における研究集会参加が必要となる。国内旅費に関しては年2回程度、名古屋および九州で発表することを想定している。海外旅費に関しては国際学会などへの参加を考えている。学会の開催地や発表回数について予測ができないため、最低、年1~2回アメリカあるいはヨーロッパで発表することを想定して費用を計上する。
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