2013 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国における財政赤字解消のための財源調達手段と経済成長に関する研究
Project/Area Number |
24530333
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
北浦 康嗣 法政大学, 社会学部, 准教授 (90565300)
|
Keywords | 経済成長 / 海外援助 / 累積債務問題 |
Research Abstract |
海外援助と経済成長に関する整理を行った。これまでの国内外の研究により、海外援助は経済成長に対して、必ずしも効果があるわけではないことが知られている。その原因となるのが、 ①累積債務問題 および ②ファンジビリティー(資金流用性)である。 とくに②について、最新の動向を確認した。ファンジビリティーとは、海外援助などの資金の流用性のことを指すが、発展途上国に対して公的投資に対する海外援助を行った場合、発展途上国の政府が、それによって浮いた公的投資への財源を教育など他のセクターに回すことが可能となる。たとえ公的投資に対する援助が行われたとしても、途上国政府がその分の財源を他のセクターにまわすのなら、結局、公的投資に用いられた資金は海外援助がなかった場合と大して変わらないので、海外援助が国全体の公的投資の改善度合いと経済成長に与える影響は、先進諸国が期待していたほど大きくはない可能性がある。 この点に関して、Chatterjee et al (2012)、Glomm (1997)やEmaeson and Souza (2003)を中心にサーベイを行った。文献調査の過程で新たにEmaeson and Knabb (2006)やFan (2004)の論文を検討した。とくに、Fan (2004)では、発展途上国における児童労働の現状について、申請者自身が想定していた分析に対して補強できる内容であることを確認することができた。 最終年度では、①について研究を進めるとともに、インフレーションと経済成長、海外援助と経済成長という2つの論点を統合するモデルを構築する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、インフレーションと経済成長、海外援助と経済成長という2つの論点を統合する必要がある。したがって、2ヶ年程度でインフレーションと経済成長、そして、海外援助と経済成長の関係を明らかにし、最終年度には、これらの研究から得た知見をもとに2つの論点を統合したモデルを構築する。 研究2年目は、海外援助と経済成長理論の確認・整理を行うことで、ファンジビリティーと経済成長の関係を再確認することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、インフレーションと経済成長および海外援助と経済成長に関する研究をもとに得られた知見を内生的成長理論に適用する。その結果、発展途上国が経済成長を実現するための方向性を提示するとともに、先進諸国の海外援助に対する指針を示したい。その成果は国際学会や国内学会にて報告する予定である。これらの成果発表や学会での議論をもとにして研究の方向性を修正したり、最終的な課題を整理することで、海外雑誌への投稿を予定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内・海外の研究集会の参加が当初予定より少なかったため。今年度はより積極的に国内・海外の研究集会に参加する予定である。 国内旅費に関しては年2回程度、北海道(北海道大学または小樽商科大学)および九州(九州大学または西南学院大学)で発表することを想定して費用を計上した。海外旅費に関しては国際学会などへの参加を考えている。学会の開催地や発表回数について予測ができないため、最低、年2回アメリカあるいはヨーロッパで発表することを想定して費用を計上した。
|