2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530339
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
国宗 浩三 近畿大学, 経済学部, 教授 (50450490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 千英 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, その他 (00450502)
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Keywords | 政策決定過程 / グローバル金融危機 / マクロ経済政策 / 新興国 / 東アジア / 東南アジア / 南アジア |
Research Abstract |
研究会の開催について:6月23日に近畿大学、11月1日に兵庫県立大学において実施した。総論について議論するとともに、研究全体の計画について打ち合わせた。その中で、総論の構成について、①政策インフラとは何か②開発途上国経済が抱える問題;マクロ経済の特徴③マクロ経済政策の課題と政策インフラ(対内政策、対外政策、諸政策の相互作用に分けて論じる)④開発途上国の個別性、および地域特性、とすることで概ね合意を得た。 海外調査の実施について:2月23日から2月26日にかけて研究代表者による香港の調査を実施した。香港金融管理局(Hong Kong Monetary Authority)のエコノミストなどと香港および中国本土のマクロ経済政策の現状と課題について議論した。香港において特徴的なのはカレンシーボード制と呼ばれる為替制度である(強固な固定レート制度に分類される)。これに伴い香港には中央銀行が存在しない。マクロ経済政策のツールのうち金融政策を事実上、放棄していることを意味する。さらに、財政政策についても、均衡財政主義を原則とするため、マクロ経済政策は非常に限定的である。ただし、先のグローバル金融危機に際しては機動的な財政政策を実施し対応した。中国本土においては、市場の欠如・未成熟がマクロ経済政策の効果や実施を制約している。金融政策については、金利規制の存続がトランスミッションメカニズムの機能を阻害している。預金金利規制の撤廃を始めとした金融自由化が重要な政策課題として認識されている。財政政策についても、問題は多い。とくに、租税改革を通じて地方政府の財政基盤を安定させることが重要と認識されている。ここでも、土地などの資産市場の未成熟な現状が阻害要因となっている。なぜなら、不動産課税等には自由な市場取引によって形成された資産価格の情報が不可欠であるからだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会の実施と各メンバーの研究活動は順調に進んでいる。また、研究代表者による香港への海外調査も実施した。しかし、研究分担者および連携研究者の海外調査の予定は、やや遅れているが、来年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
1,研究会の開催 引き続き研究会を開催し、総論の枠組み、各国・地域を対象とした調査の進展についての報告と全体における討論を通じて、研究内容の質の向上を図る。 2,現地調査の実施 重点とする国、および周辺国・地域を対象とした現地調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者および連携研究者の海外調査予定が遅延したことによる。とくに、連携研究者のうち1名は本年度に異動したため、調整が難しかった。また、研究分担者については本研究以外の海外調査が本年度に集中したため、本研究に関わる海外調査は来年度に繰り延べすることとなった。 遅延した研究分担者および連携研究者の海外調査を実施する。また、研究代表者も引き続き海外調査を実施する予定である。 担当地域・国は、研究代表者は中国を含む東アジア、研究分担者はフィリピンおよび周辺の東南アジア諸国、連携研究者のうち井上はインド、中東欧、グェンはベトナムおよび周辺の東南アジア諸国となっている。
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Research Products
(7 results)