2013 Fiscal Year Research-status Report
地方財政再生制度下における地方自治体の財政運営と制度評価に関する研究
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24530344
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鷲見 英司 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60337219)
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Keywords | 地方財政論 |
Research Abstract |
平成25年度は,新地方財政再生制度下での財政健全化に向けた地方自治体の財政運営の変化やその実態を明らかにすることを目的として,都道府県と市町村を対象とした実証分析を進めてきた. 上半期は,健全化判断比率を用いて,新制度導入後の地方財政健全化の全体的傾向の把握とともに,実証分析のための地方財政データの(市町村の場合は合併状況も考慮した)構築を行った.特に,健全化判断比率の変化要因を分析するために,健全化段階以上の自治体については,健全化判断比率の構成要素のデータを構築した.健全化段階以上の自治体の財政健全化プロセスをみると,実質公債費負担や将来負担の縮小が顕著であり,新制度がもたらした財政健全化効果が明らかになった.しかし,各自治体が実質公債費負担や将来負担をどのようにして削減したか(具体的な財源確保や歳出削減策)を把握するには限界があるため,この検証を下半期に取り組んだ.下半期には,都道府県,市町村を対象とした実証分析に取りかかった.11月の公共選択学会では,新地方財政再生制度の導入前後の都道府県の財政運営の変化の有無を検証した論文報告を行った.その後は,市町村財政へと分析対象を拡大するとともに,実証分析のブラッシュアップを図ってきた(これらの成果は,平成26年5月の日本地方財政学会での報告予定である). まだ25年度中の研究と学会報告の成果をまとめられていない状況にあるが,26年度半期の成果と併せて,これらの成果は学会誌に投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の学会報告等の成果が論文としてまとめられていない状況にあるものの,データ構築が終わり実証分析を実施している段階にあり,現在のところおおむね順調に進展している. 平成26年度は,上半期において,昨年度と26年5月(予定)の学会報告を論文としてまとめるとともに,3年間の研究成果全体をまとめるうえで重要な1年となるため,これまで以上に進捗管理に努めることとする.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の着実な推進のため,以下の方策を平成26年度に実行する. 25年度の公共選択学会での報告論文,26年5月の日本地方財政学会での報告論文をとりまとめ,学会誌に投稿する.昨年度実施できなかった新制度導入後の地方財政健全化の全体的傾向についてもとりまとめる.さらに,積極的に秋以降の学会でも報告し,論文の質を高めることに努める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
自治体へのヒアリングを計画していたが,翌年度へ計画を変更したため未使用額が生じた. 25年度に実施しなかった自治体へのヒアリングを実施し充当することとする.
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