2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530349
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤井 隆雄 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80547216)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入谷 純 福山大学, 経済学部, 教授 (30107106)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 年金 |
Research Abstract |
本研究は、賦課方式の年金拡大がマクロ経済(資本蓄積、経済厚生、所得分配)に及ぼす影響を理論的に考察するものである。もちろん、既に年金については、膨大な先行研究が蓄積されているが、そのほとんどはシミュレーション分析を用いており、理論分析を行っているのは少ない。また、理論分析を行っている場合でも同質家計を前提としているのが現状である。本研究は世代内の異質性を考慮した理論分析を行うことによって、世代内の公平性も分析することを目的としている。このことはシミュレーション分析の結果を補完する上でも極めて重要である。 上記目的を達成するため、本年度は、賦課方式年金が(i)資本蓄積、(ii)経済厚生、(iii)世代内公平性に与える影響を分析した先行研究を理論分析、シミュレーション分析、実証分析を問わずサーベイを行った。その結果、現時点においても年金の研究においてはシミュレーション分析に比して理論分析が極めて少ないことが判明した。 また、本年度は最適な年金制度についての研究も行った(一橋大学ディスカションペーパーNo.558)。ここでいう「最適」とは通時的な年金予算の制約の下で各世代の間接効用の総和を最大化する年金制度のことである。分析の結果、人口成長率の時点による違いは各世代の純負担率(純給付率)の相対的な値には影響を及ぼさない等の結果を得ることができた。この結論は、少子化が進行している日本の現状を踏まえた年金制度設計にとって極めて有益であると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書の「平成24年度の研究実施計画」に記載した中では、各国の年金制度の整理を行うこと、及び先行研究の結論を関数形、パラメータ値により分類する作業をまだ行えていない。しかし、サーベイは概ねできており、また最適年金の理論分析を行い、ディスカッションペーパーにまとめることができたのは進展である。
|
Strategy for Future Research Activity |
各国の年金制度の整理を行い、現実に沿った形で理論分析を行うことである。具体的には、国債の導入、生存確率の導入、3期間OLGによる分析である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関連書籍、パソコン関連消耗品の購入、調査旅費、論文校閲費等に使用する予定である。
|
-
-
-
[Presentation] 最適年金の理論2012
Author(s)
小黒一正・藤井隆雄・林史明・入谷純・
Organizer
日本経済学会2012年度春季大会
Place of Presentation
北海道大学
Year and Date
20120624-20120624