2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530349
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
藤井 隆雄 福山大学, 経済学部, 准教授 (80547216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入谷 純 福山大学, 経済学部, 教授 (30107106)
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Keywords | 賦課方式年金 / 世代内公平性 |
Research Abstract |
本研究は、賦課方式年金がマクロ経済学に与える影響を資本蓄積、経済厚生、所得分配の3つの側面から理論的に分析するものである。先行研究と比べた場合の本研究の特徴は主に次の3点である。まず、先行研究の多くが多世代重複モデルを用いたシミュレーション分析であるのに対して、本研究は二世代重複モデルを用いた理論分析である。先行研究の手法はモデルを現実に近づけて分析するという点で意義深いことであるが、一方でモデルの中身が分かりにくいという欠点もある。その点を本研究は克服している。第二に、世代内公平性に着目している点である。もちろん、モデルに世代内の異質性を導入した年金分析は存在するが、先と同様、シミュレーション分析がほとんどである。世代内の異質性を導入したモデルを構築し、賦課方式年金が世代内公平性に与える影響を分析している点は本研究のもう一つの特徴である。第三は、本研究が関数形を特定化していないという点である。先行研究のほとんどは、シミュレーション分析は当然であるが、理論分析においても関数形を特定化して分析を行っている。結果として、先行研究では得られた結論に関数形を特定化していることがどこまで影響しているのかがわかりづらい。本研究の場合は、関数形を特定化していないため、得られる結論はその影響を全く受けないことになる。 上記研究を遂行するため、本年度は、サーベイを行うとともに、分析を進め、結果として賦課方式年金が世代内公平性に与える条件を導出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、関数形を特定化せず分析を行っているため、分析を様々な方向に発展させる前段階で、しっかりとした基本モデルを構築しておくことが重要である。もちろん、基本モデルは初年度に構築していたが、1点問題があった。それは動学分析を進める過程でヤコビアンの符号をプラスであると仮定していたことであり、実際、他の研究者の方からもご指摘を受けた。したがって、この部分を克服しないかぎり、モデルを発展させることは困難だったため、モデルを発展できていないというのが理由である。ただし、今年度、この問題を克服することができており、その成果は福山大学ディスカッションペーパーとしてまとめた。その意味では、当初の研究予定からすれば「やや遅れている」としたものの、大幅な前進であると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本モデルの構築が終わったので、今後は分析を発展させていく。当初計画では、いくつかの発展方向を提示していたが、その中でも特に重要だと我々が考えている、(i)年金規模一定の分析、(ii)生存確率を導入した分析を進めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理由は2点ある。まず、研究代表者と分担者の所属機関が同一になったため、打ち合わせのための出張経費が必要なかったことである。しかし、これについては平成26年度は所属機関が異なり、かつ最終年度であるため、出張回数が増えるものと考えている。もうひとつは、基本モデルの不備部分の修正を行っていたため、書籍等の購入をそれ程行う必要がなかったことである。これについても1点目と同様、最終年度である今年は多くの書籍等の購入が必要になると思われる。 打ち合わせのための旅費、書籍購入、論文投稿の英文校閲代等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)