2014 Fiscal Year Research-status Report
新興市場国への資本流入問題に関するマクロ的分析-世界金融危機後の新たな課題と政策
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24530350
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北野 重人 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00362260)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資本規制 / 新興国 / 金融政策 / 国際マクロ / 厚生分析 / 国際資本移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、平成25年度の研究により構築した新興市場国の特徴を明示的に取り入れたDSGEモデルに基づき、個々の政策に関する厚生分析を行った。具体的には、主に以下のような研究を行った。 (1)金融部門にフリクションがある小国開放経済のRBCモデルを基に、スペインのデータを用いて、MCMC によるベイズ推定を行い、マクロ・データと整合的なモデルを構築した。そのようなより現実的なモデルを用いて、資本規制政策の厚生に関する分析を行った。 (2)金融部門にフリクションがある小国開放経済のニューケインジアン・モデルを用いて、異なる金融・為替政策ルールの下での厚生水準を比較検討した。その結果、金融市場が不完備であり、金融フリクションの程度が大きいほど、為替レートをペッグする政策が他の政策ルールと比較して、高い厚生水準をもたらすことが明らかになった。 (3)外国通貨建てによる対外借り入れに依存し、またファイナンシャル・アクセラレータを内包する小国開放経済のニューケインジアン・モデルを構築した上で、変動相場制下での最適金融政策と固定相場制下での資本規制政策を比較する研究を行った。分析の結果、ファイナンシャル・アクセラレータのメカニズムが働かない経済においては、変動相場制下での最適金融政策の方がより高い厚生をもたらす一方、ファイナンシャル・アクセラレータのメカニズムが働く経済においては、固定相場制下での資本規制政策の方が、より高い厚生をもたらすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究目的は、平成25年度の研究により構築した新興市場国の特徴を明示的に取り入れたDSGEモデルに基づき、モデルによってはMCMCを用いたベイズ推定を行うなどした上で、個々の政策に関して厚生分析を行うことであった。この点について、研究実績の概要に記述のとおり、概ね達成することができた。 研究成果に関しても、今年度2つの研究成果について、海外ジャーナルに掲載が決まった。また今年度の研究計画に関する3本のワーキングペーパーを公刊する形でまとめることができた。以上の理由より、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、当初の研究計画に沿って、これまでの研究において厚生分析を行ってきた個々の政策について、同時に複数の政策を行うポリシー・ミックスの問題について分析を進めていく。すでに平成26年度において、こうした研究に着手しており、研究実績の概要に記述した(3)の研究がこれにあたるものである。さらに余裕があれば研究を発展させ、これまで研究を行ってきた小国開放経済だけでなく、当初の研究計画には入れていないものの、2国モデルでの検討も行っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
共同研究者との打ち合わせ費用を、研究所内の所長裁量経費によって、まかなうことができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費の使用計画(直接経費)は、次の通りである。 物品費/150,000円、旅費/300,000+424,304=724,304円、人件費・謝金/40,000+100,000=140,000円、その他/10,000円 「次年度使用額」は、成果報告のための旅費、人件費・謝金として、使用する予定である。
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Research Products
(11 results)