2015 Fiscal Year Annual Research Report
新興市場国への資本流入問題に関するマクロ的分析-世界金融危機後の新たな課題と政策
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24530350
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北野 重人 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00362260)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際マクロ / 国際金融 / 新興国 / 資本移動 / 資本規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究業績は、主に以下の3つの論文である。 (1)アジア通貨危機以降、多くの新興市場国がドル・ペッグを離れ、変動為替レート制の下で(広い意味での)インフレ・ターゲティングに移行した経験を踏まえ、本論文は、ペッグ制、変動為替レート制の下でのマネタリー・ターゲティング、そしてインフレ・ターゲティングの3つのレジームに関して、政策評価の分析を行った。分析により、インフレ・ターゲティングが最も望ましいレジームであることを示唆する結果が得られた。 (2)価格硬直性と金融フリクションを有する小国開放経済のDSGEモデルを用いて、新興国に焦点を当てカリブレーションを行った上で、標準的なテイラー・タイプの利子率ルールの下で、対外債務の変動も併せて考慮する金融政策を分析した。金融部門が未発達な経済ほど、金融政策において対外債務の変化を考慮することが、より大きな厚生の改善につながる可能性があることを示唆する分析結果を得た。 (3)ドル建てで債務を抱える小国開放経済に、金融フリクションを組み込んだニューケインジアンモデルを展開し、変動為替相場制度の下での最適金融政策と、固定為替相場制度の下での資本規制政策の厚生を比較した。分析の結果、固定為替相場制度の下での最適資本規制政策と、変動為替相場制度の下での最適金融政策のどちらが望ましいかについては、その経済に金融フリクションが存在するか否かに依存することが明らかになった。
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Research Products
(10 results)