2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530352
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石田 和之 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (30318844)
|
Keywords | 地方税 / 安定性 / 所得弾力性 |
Research Abstract |
本研究は、国における景気対策などに対応した政策的な税制の改正が地方税の安定性に影響を及ぼしているのではないかという問題意識から、Co-movementの手法を用いて、国における政策的な税制改正が地方基幹税の収入の変化に影響を与えているかどうかを実証的に明らかにすることを目的にしている。 上記の目的を達成するために、地方税の安定性に関わる制度改正の文献資料の整理を行い、国税の制度改正が地方税に及ぼした影響を確認した。その上で、個人住民税、法人住民税、固定資産税といった地方基幹税の収入の安定性を税収の短期的所得弾力性の尺度を使って推計した。推計結果は、制度改正の経緯と照らし合わせて、解釈を行い、税収の安定性に対する制度の影響を考察した。とくに、個人住民税(道府県分、市町村分)と法人住民税(道府県分、市町村分)については、対応する国税である所得税と法人税からの影響を検証することとして、Co-movementの手法によって、国税制度の影響が地方税の収入に影響を及ぼしているか否かを検証した。 これらの分析の過程では、地方税の安定性に関連する論点として重要である普遍性や伸張性との関係も、あわせて検証を行った。 以上の分析から得られた結果は、全体として包括的にまとめて結果の解釈等を行い、地方税の安定性の観点から得られるわが国の地方税の制度の意義についての示唆も得た。 これらの成果のうちのひとつは、現在、学術雑誌に投稿中(major revise)である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度までに、①地方税収の安定性の有無の検証、②地方税収の安定性に及ぼす国税の制度改正の影響を推計し、最終年度である平成26年度には、研究成果をまとめて論文として完成させるとともに、データや手法の妥当性等をチェックし、検証結果の有意性などを確認する予定であった。しかし、平成25年度には、当初の計画よりも進んで、研究成果の全体的な取りまとめの作業等を一部前倒して実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成26年度は、これまでに推計してきた実証分析の結果の整合性や正確性をチェックすると同時に、本研究の全体をまとめ、成果として公表できるように完成させる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料収集や意見交換のために予定していた出張の回数が当初の予定よりも減ったことなどにより、年度末に少額の残高が残る見込みとなったが、残高の調整として予算を消化することを行わず、次年度に繰り越して有効に活用することを意図したため、次年度使用額が生じた。 次年度への繰越額は、翌年度以降に請求する研究費と合わせて、データチェックや資料整理に係る人件費、成果発表や調査のための学会参加、論文投稿のための英文校正費、文具等消耗品費等に使用する予定である。
|