2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530361
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 伸枝 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (90365536)
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Keywords | 自発的継続ゲーム / 公共財 / クラブ財 / 囚人のジレンマ / 離脱可能性 / 繰り返しゲーム |
Research Abstract |
環境問題,安全保障,資源問題といった問題への対策の必要性が高まるのに応じて,従来から互いをよく知る近隣諸国のみでなく,これまで疎遠であったグローバルな相手と寄り集まって小規模な国際組織を形成し「問題の解決」という公共財(クラブ財)の供給を試みるケースは今後ますます増えるであろう.このような国際組織の提供する公共財(クラブ財)の特色のひとつは,橋や道路などの多くの国内公共財とは違って毎年成果を得るためには毎年の貢献が必要となるので,1回限りのゲームではなく「繰り返し」が発生することである.しかしながら,繰り返しといっても,ひとたび国際組織を形成してしまえば固定された加盟者間で自動的に無限回繰り返しゲームがプレイされるわけではなく,加盟者が裏切って離脱してしまう可能性もある.国際連合のように強大な権限をもつ国際組織は稀で,現状の多くの国際組織は非協力的な加盟者に対して経済制裁等の十分な処罰を与えることはできない.ましてや既に離脱してしまった者を処罰することは事実上不可能である. 本研究では「繰り返し」「離脱可能性」を伴う囚人のジレンマおよび公共財(クラブ財)のモデルを構築・分析している.本年度は,共著者2人とともに取り組んだ2人囚人のジレンマの研究では,全員が中途半端に協力する均衡よりも協力者と非協力者が混在する均衡のほうが効率的となる場合があることを示し,Association for Public Economic Theory の年次大会で報告した.また,クラブ財を供給するグループ内での協力行動や欠員について研究した単著論文を International Institute of Public Finance の年次大会で報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度から手掛けていた研究を推進しいくつかの追加的な分析結果を得た.それを反映した2人囚人のジレンマに関する共著論文1本と公共財(クラブ財)に関する単著論文1本を,Association for Public Economic TheoryやInternational Institute of Public Financeなどの国際学会で報告することができた.しかしながら,英文学術雑誌に投稿した共著論文は不採択となってしまった.また,そのレフェリーレポートにおいて指摘されていた改善すべき点には当時投稿準備中だった単著論文にも当てはまる部分があるため,単著論文も改訂してから投稿するよう方針を変更した.これにより,現状では論文は2本とも投稿前の段階にある. 幸い2014年度前半に合計3回の国際学会での報告が内定しており,改訂の際に有益であることが期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は既に計3回の海外での学会発表が内定しているので,コメントを反映しながら現在の論文の最終改訂を行い英文学術雑誌に投稿する.また,現在着手している新しい論文を年度内に小さなワークショップで報告したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
単著論文の英文校正を依頼する予定であったが,既に投稿していた共著論文が不採択となったため,単著論文についても特にイントロの部分を大幅に改訂してから投稿したほうが良い学術雑誌に掲載される可能性が高いと考え,それに伴い英文校正も遅らせることにした. 2014年夏には改訂版を書き上げる予定なので,その際に次年度使用額を英文校正に使う.
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