2012 Fiscal Year Research-status Report
高頻度取引による証券市場変革と資産運用へのインパクト
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24530368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宇野 淳 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00349218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保田 隆明 小樽商科大学, 商学研究科, 准教授 (90581546)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高速取引の浸透 / 流動性供給競争の激化 / 市場分断は取引所の流動性に貢献 / クラウドファンディングの可能性 |
Research Abstract |
(1)市場取引の高速化と参加者へのインパクト、(2)証券取引所外での取引の拡大による市場分断の可能性、(3)証券会社機能の低下の影響、の3つテーマについて実証研究を進めた。 (1)高頻度取引による証券取引の流動性へのインパクトについては、2010年から2012年前半までの期間に広げて影響を追跡し、高速化による流動性やボラティリティへの顕著な影響がないことを確認した。さらに、欧米における研究結果と比較し、日本における変化の特徴として流動性供給競争の激化を指摘した。 (2)証券取引所外での取引の拡大による市場分断の可能性については、PTS市場のシェア拡大による取引所の流動性変化を分析した。日本のPTSのシェア拡大は呼値の違いがトリガーになっていること、取引所市場の流動性はデプスが厚くなるというプラス効果が観察されることを報告した。 (3)日本市場における証券会社の機能低下の影響の分析として、インターネットを活用したクラウドファンディングの研究に着手した。本年3月にクラウドファンディングに関する公開セミナーを開き、アカデミック界、実務界の両方から関係者の意見を集約する機会を設けた。また、クラウドファンディングの事業者とも意見交換をしている。すでにいくつかの事業者からは彼らのデータを用いた実証分析を実施することに合意を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度前半は証券市場の変貌に関する(1)(2)のテーマの研究を集中的に進め、研究成果の期間延長などを通して、結果の頑健性を確認した。後半は、各人が次のテーマへ向けての準備を進め、一部、研究活動に着手した。全体として順調に推移しており、公開セミナーや雑誌等への原稿執筆を行い、情報発信もさまざまな形態を使って行っている。これは次年度以降の研究を進めるうえで、事業者等からの協力を得るうえで支援材料になると考えている
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Strategy for Future Research Activity |
市場の高速化と流動性の問題については、流動性供給システムの変遷を整理し、株式市場に限定せず、国債市場の流動性供給システムとの比較なども検討する。政権交代、金融政策の大幅な変更を踏まえて、研究テーマに幅を持たせる。証券会社の機能低下につえては、クラウドファイナンスを使った資金調達に成功する案件、および、資金提供者のプロフィールに関して実証分析を行い、この新たに登場しつつある資金調達手段の有効性と発展性、そしてそれによる証券会社の機能低下に関して検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第1年度の研究成果の発表と第2年度の研究推進のため、研究者との交流を拡大する。 株式以外の市場を分析するためのデータ取得を進める。 クラウドファイナンスの実証研究を行うためのデータ提供先と交渉し、具体的な研究プロジェクトを開始する。クラウドファンディングのいくつかの事業者からは彼らのデータを用いた実証分析を実施することに合意を得ている。
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Research Products
(3 results)