2013 Fiscal Year Research-status Report
高頻度取引による証券市場変革と資産運用へのインパクト
Project/Area Number |
24530368
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宇野 淳 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00349218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保田 隆明 小樽商科大学, 商学研究科, 准教授 (90581546)
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Keywords | 高速取引の浸透 / 流動性供給競争の激化 / 市場分断 / HFT / クラウドファンディング |
Research Abstract |
昨年度は前年度に引き続き、主に、高頻度取引による影響に関する分析、金融危機や震災など危機における投資家行動と高速化の関係を検証を行った。また、昨年度から研究開始を予定していた私設市場の台頭によるインパクトの分析に関しては、私設市場の立ち上がりが想定よりもやや遅れている一方、クラウドファンディングという市場外による資金調達手段が発達してきたことにより、クラウドファンディングの可能性の分析を開始した。 市場取引の高速化と参加者へのインパクトの分野では、①2013年5月23-24日に発生した株価の乱高下と高速取引の関係を、市場流動性に及ぼした影響という視点から分析し、研究会で報告した。高速取引者が市場の乱高下に積極的に関与したという事実はなかったが、流動性供給から一時的に離脱した影響とみられる流動性悪化が観察された。これは、高頻度取引業者による流動性供給を維持するために、メイカーフィーのような制度を導入する必要性があるという根拠のひとつとなる。株価下落に驚いた投資家からの売り注文の受け皿が薄くなり、価格変動性を高める遠因になった。②取引の高速化の影響については、欧州国債の市場についての分析を行い、国債のインターディーラー市場と国債先物市場の価格形成の関係を分析した。どのような市場構造が金融危機の発生時に、市場機能の頑健さを維持できるか制度比較研究を行った。流動性供給義務を負わせることの効果を計測し、流動性を向上させる仕組みとしての特徴を明らかにした。③東京証券取引所と大阪証券取引所が株式市場を統合した効果を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに実施しようとしていた研究内容に関しては、ほぼ順調に進んでおり、成果発表も順調である。日本株における証券会社の機能低下の影響の分析は今年度の研究発表の中で含めて行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究内容の成果発表を主に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度のデータ購入を次年度にずらしたことによるもの。 データ購入に充当予定
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Research Products
(5 results)