2013 Fiscal Year Research-status Report
数値解析的一般均衡分析における最適課税論・限界的税制改革論の我が国への応用分析
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24530370
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
加藤 竜太 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (60242971)
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Keywords | 公共経済学 / 数値解析的一般均衡分析 / 最適課税論 / 労働の内生化 / 女性労働 / 正規雇用と非正規雇用 |
Research Abstract |
当該研究の目的は、現実的な想定のもとで我が国に於ける最適税制の模索と現実的な状況を前提としたパラメータ値のもとで、実際にどのような状況が起きているかを、正値に一般均衡モデルを援用して、数値解析的に検討することである。 このような目的の下、当該年度は日本の状況をさらにモデルに取り込み、数値解析的に分析した。特に日本の労働市場の現実的な状況、すなわち、完全雇用ではない状況を想定した上で議論を進めたことである。これは今まで分析してきたモデル、特にFORTRANによって作成してきたプログラムを大幅に改良し、分析を行ったことである。さらに、近年の我が国の労働の変化、すなわち、正規雇用と非正規雇用の違いに着目するばかりではなく、男女の違いにも注目し、分析を行った点である。さらに育児といった女性の労働市場への進出を妨げると言われるような要因に注目し、育児理由により労働市場に進出できないケースを取り上げ、所謂M字カーブと呼ばれる状況の是正が、将来の長期的な経済成長にどのように影響を与えるかについて分析を行った。最適課税を論ずる場合、労働の内生化は必然的な拡張であり、その場合の男女の差と正規・非正規の差のモデルへの明示的導入は重要である。 このような分析成果は2014年2月に行われたJapan-Irvine Public Economics Conference(UC, Irvine, US)で発表することができ、その結果としてSpringerからの書籍の一部として刊行予定である。具体的には当該年度は2つの研究論文としてまとめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最適課税論を論ずる場合、弾力性値などの与え方が大きく結果に影響を与える。既に構築しているFORTRANプログラムではこの弾力性値を与える段階に来ているが、多くの産業に於ける弾力性値が思うようにデータ的に入手、あるいは計算できていない。データ的問題であり、モデル、あるいはプログラムの構造的な問題はないものの、このデータ値が結果に重要な影響を与えるので、時間をかけて優れたデータの構築とその値のプログラムに於ける計算にもう少し時間がかかる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最適課税論の組み込み、特にその計算結果に重要な影響を与える弾性値の精緻化に時間を投じていく予定である。弾力性値が信頼性を持って与えられることによって、シミュレーションの分析結果の安定性が大きく向上するものと考えている。
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Research Products
(3 results)