2014 Fiscal Year Annual Research Report
数値解析的一般均衡分析における最適課税論・限界的税制改革論の我が国への応用分析
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24530370
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
加藤 竜太 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (60242971)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 限界的な税制改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の産業構造、将来人口を前提としながら、数値解析な一般均衡シミュレーションモデル(CGEモデル)の枠組みの中で最適課税論・限界的税制改革論を再吟味し、現実的な想定の下で我が国に於ける現実的な望ましい税制改革論を精緻な経済モデル(CGEモデル)の枠組みの中で提示することが当該研究の大きな目的である。特に大きな特徴は労働供給のモデル内に於ける内生化と、女性労働や労働市場の不完全性(失業の存在を前提とした)を明示的にモデルに組み込み、最適課税論・限界的税制改革論を現実的な想定の下で議論することである。特に最適課税論を議論する場合、労働の内生化と現実的なパラメータの想定は極めて重要である。このような拡張の結果、以下のような研究成果が得られた。すなわち、まず、摩擦的な失業が存在する前提で我が国の税政策の効果を分析し、特に税政策の失業への影響を分析した。そこでは税制策の変更が失業率の低下と有職率の増加を促すことがわかった。また、労働市場へのショックの歴史的推移をトレースできることも確認できた。また、女性労働を明示的に導入すると同時に正規労働と非正規労働の違いに注目し、我が国の限界的な税制改革の影響を分析した。そこでは安定的な将来経済成長を阻害している大きな要因は育児に関わる問題と言うより、女性の賃金体系が男性の賃金体系より大きく下回っていることが大きな要因であり、仮に育児に関わる負担を税制改革によって改善しても大きな将来に於ける経済成長へのプラス要因とはならないことがシミュレーション分析で明らかにされた。一方、仮に女性賃金体系が男性並みに改善された場合、育児に伴う負担を税制改革によって提言した場合には最大で10%近い将来経済成長へのプラスの効果が期待できることも数値解析的に明らかにされた。
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Research Products
(3 results)