2012 Fiscal Year Research-status Report
地域間競争の研究:オークション理論の応用と地域間課税ベース分割の視点から
Project/Area Number |
24530374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松本 睦 立命館大学, 経済学部, 教授 (00253766)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究の目的は,地域間競争の研究をオークション理論と地域間課税ベース分割の視点から行うことである.この研究に向けて,文献収集・精読及び具体的な論文作成作業を行ってきた.作成した論文(Attraction and retention of business investment: the endogenous timing of bidding wars)は,2012年度日本経済学会で口頭報告されて学術専門雑誌に投稿された.この論文は企業誘致競争のタイミングを企業サイドの戦略的行動を考慮して内生化したものであり,基本的フレームワークはオークション理論に基づく補助金競争モデルである. 本研究では地方財政や国際的財政関係に関心を持つ若手・中堅研究者の意見交換・交流の場を設ける目的で,関西公共経済学研究会と合同で財務総合政策研究所研究官(布袋正樹氏・柴田啓子氏)とYale大学の研究者(Eric Weese氏)を招いたセミナーを開催した.地方財政と国際的財政関係は境界を跨いだ人口・生産要素の移動や貿易関係を重視するという意味で理論分析上の共通点が多い.布袋・柴田論文は我が国の法人税制が国際的な法人所得の流れに与える影響を分析しており,Weese論文は我が国の市町村合併に伴う地方の選択の戦略的側面を明らかにしたものである. また,本年度は本研究を申請するに当たって「最終年度の着手」を記載した地域間競争に関する専門書の作成に前倒しで着手した.科研費研究期間内の完成を目指すために,余裕を持って早期着手に踏み切った.この専門書には,特にオークション理論と地域間競争に関して,企業誘致競争に関する研究の進展やその政策的含蓄に言及する部分が含まれる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に直接関連する専門論文を既に1本作成したほか,予定していた研究セミナーも開催できた.研究計画に関する基本文献の収集も進んでいる.但し,研究セミナーに関しては,想定していた報告者達との調整が付かず,規模や回数が予定よりも縮小された.「研究実績の概要」にも記述したように,前倒しした専門書の作成作業はおおむね順調に進展しており,基本的内容が固まって出版社との調整や具体的な原稿の作成作業を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初提出した研究計画では,H24,25年度に基礎研究・論文執筆・研究会開催を行い,そしてH26年度には専門書作成に着手するとしていた.しかしながら,助成期間中に責任を持って専門書を完成させるために,H25年度から本格的に作業に取り組むことになった.特にH25年度においては,科研費研究課題の地域間競争に関する専門書の作成を重点的に行う.その内容は,地域間競争の理論的研究に関する包括的サーベイと,自らの関連専門研究をまとめた部分の2部構成である. 専門書作成の前倒しに伴い,従来の研究計画と専門書作成の早期着手を両立させるために,資金配分計画を変更して前倒し支払いの請求を行った.H24年度に(スピーカー予定者達との調整が付かずに)開催を見送った地方財政・国際財政関係の研究セミナーを再組織し,研究者間の交流を図りたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
専門書作成の前倒しに伴い,従来の研究計画と専門書作成を両立させるために,資金配分計画を変更して前倒し支払いの請求を行った.専門書作成作業の進展状況を踏まえつつ,次年度中に出版社との調整の上,出版計画を正式に確定したい.また,H24年度に開催を見送ったセミナー費用はH25年度に繰り越されているので,改めてセミナー費用として活用したい. 専門書作成・セミナー開催に加えて,基礎文献・資料の収集を進め,必要に応じてPC(周辺)器機等の研究サポート用の物件を調達したい.
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Research Products
(1 results)