2012 Fiscal Year Research-status Report
日本の零細企業への新たな融資制度構築~グラミン銀行モデルの応用
Project/Area Number |
24530382
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
BARAI Munim 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (50584017)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Microfinance / Financial Markets / Gray Area / Crowding Out / Experience Survey / Roundtable / GB Model of Microcredit |
Research Abstract |
日本の金融市場における「グレーゾーン」の金融ニーズに対処するマイクロファイナンス・モデルの制度的構造を提案するにはバングラデシュのグラミン銀行のモデルを利用することが可能である。アメリカのような先進国においてもグラミン銀行モデルは制度運用が行われている。本研究は日本のマイクロファイナンス・モデルを解釈する際の問題点を探ることを目標とする。 2012年は事実調査を主眼とした。日本金融市場のクラウディング・アウト(政府投資が民間投資を押し退けること)、金融グレーゾーンが生み出されるそのほかの要因の探求、次世代へのクラウディング・アウトとグレーゾーンの代償、政府の負債による資金調達の持続困難、追加財政支出の潜在的な低生産性等である。 2012年度は、日本の金融システムや、直面している問題、金融市場における政府の関与の大きさを理解するため、書籍、ジャーナル、研究論文を幅広く集めた。さらに、金融市場の「グレーゾーン」の形成に関し専門家や研究者にヒアリングを行った。グレーゾーンにおいて、中小、零細企業は資本調達や運転資金の借り換えがますます困難になっている。問題の本質を探り理解することに注力した。 また、2012年度は、バングラデシュで研究シンクタンク「Democracy and Development Institute」の協力のもとラウンドテーブルを開催した。同ラウンドテーブルには、NGO、バングラデシュのマイクロクレジット管轄当局、マイクロクレジットの借り手、パネリスト、研究者、専門家、学生など多くが参加した。研究代表者もラウンドテーブルで論文を発表し、バングラデシュにおけるマイクロクレジットのグラミン銀行モデルの機能について更に理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では以下の問いを掲げている。(1)代替の資金調達先を必要としている日本の金融市場における「グレーゾーン」の大きさはどれくらいか、(2)バングラデシュの「グラミン銀行マイクロクレジットモデル」に続くマイクロファイナンス・モデルはグレーゾーンの個人や零細企業の金融ニーズに応え、技術の普及と貧困削減のためにいかににデザインされるべきか、(3)所有権やプログラムの実施とモニタリングにおいてモデルの制度枠組みはどうあるべきか、(4)新しい金融融資方法があれば日本経済の生産性や成長にどのような影響があるか (1)は大部分を、また(2)は一部をカバーできた。(2)では、バングラデシュのモデルの全体的な運営プロセスを導き出し、日本の財務モデルを構築する際に教訓として生かす必要がある。バングラデシュで実地調査を行いラウンドテーブルを開催したことで、マイクロクレジットのグラミン銀行モデルの様々な運営技術について、日本モデルを開発する際の有益なアイデアを得た。次年度は日本で現地調査を行い、金融機関とその金融商品開発について様々な側面から理解するため、ターゲットグループと懇談する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度の活動計画は次の通りである。 (1)零細企業向け融資モデルを開発するため、日本のステークホルダーの視点理解を目的として日本国内でフォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)を開催する。(2)日本国内および海外でセミナー/カンファレンスに各1回は参加し本研究に関連する論文を発表する。(3)グラミン銀行のモデル機能調査のため、連携研究者と米国を訪問し、先進国で機能するグラミン銀行モデルを理解し日本におけるモデルのデザインに生かす。(4)個人、中小企業、零細企業を対象とした現地調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
執行計画は以下の通りである。(1)日本国内でフォーカスグループディスカッション(FGD)を開催するための費用、(2)日本国内と海外でセミナー/カンファレンスに参加するための旅費、(3)グラミン銀行のモデル機能を視察するために米国を訪問する旅費、(4)個人、中小企業、零細企業、専門家、研究者などに対する現地調査にかかる費用、(5)データ入力・集計のためのソフトウエアと研究助手の人件費、(7)書籍、関連資料費等。
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Research Products
(5 results)