2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530389
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
鈴木 俊夫 帝京大学, 経済学部, 教授 (00139982)
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Keywords | マーチャント・バンク / ロンドン金融市場 / N.M.ロスチャイルド商会 / ベアリング商会 / モルガン・グレンフェル商会 / 証券発行 / 手形の引受信用 / コルレス銀行 |
Research Abstract |
(1)19世紀から第一次世界大戦前のロンドン金融市場を対象に,投資銀行の先駆形態となる,ロンドンの国際銀行業マーチャント・バンクのビジネスモデルを解明する文献研究を行った。先ず,この問題に関して定評ある研究書となるS.D. ChapmanとToshio Suzukiの著作の方法や構成を再吟味した。通常,マーチャント・バンクのビジネスモデルは「国際的な貿易金融と債券の発行」としてまとめられているが,業態を画一化することはできない。マーチャント・バンクの取り上げるビジネス範囲は,①手形引受,②証券発行や企業金融,③証券取引,④証券投資管理,⑤商品取引など多岐にわたる。このため,社史や経営者の伝記を援用して,有力商会の業務内容を補足した。参考にした文献の主なものは,Erik Banks, Baring Brothers & Co. Limited, Kathleen Burk, Nail Ferguson, Saemy Japhet, John Orbell, Richard Roberts, Philip Zieglerなどの著作である。文献検索に当たってはBusiness Archives CouncilのデータベースBusiness History Explorerを参照した。また,PCとスキャナーを用いて関連箇所の記述をデジタルデータ化した。 (2)アーキヴァル史料に関しても調査と収集を行った。ベアリング商会とN.M.ロスチャイルド商会のアーカイヴズの分類カタログを精査し,文書の種別と所在を確認した。ロンドンとニューヨーク金融市場の結節点となるモルガン・グレンフェル商会の文書について,ロンドン・メトロポリタン・アーカイヴズを調査した。同時に,東洋為替銀行としてマーチャント・バンクと密接な取引関係を有したチャータード銀行のアーカイヴズから,手形引受に関する史料を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度においては英国の現地訪問を実施して,関連するアーカイヴズや図書館における史(資)料調査と収集作業を順調に進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
マーチャント・バンクと投資銀行の連関を考察するうえで,モルガン・グレンフェル商会が重要となる。既に一部史料を調査・収集しているニューヨークのJ.P.モルガン・ミュージアム(アーカイヴズ)とニューヨーク連銀アーカイヴズの史料上の照合を行い,結節点となる取引関係を具体的に考察したい。同時に,ハーヴァード・ビジネス・スクールのベーカー図書館に所蔵されているT.W.ラモント文書を調査して,戦間期のマーチャント・バンクと投資銀行の取引関係を具体的に考察する予定である。検索に不可欠な同文書の分類カタログについては,ベーカー図書館に直接依頼してコピーを既に入手した。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において,金融危機による混乱やアーカイヴズや図書館等の組織変更・施設改修などのため利用期間に制約があり,訪問日程の調整が不調に終わり,アーカイヴズや図書館におけるリサーチが予定通り進行しなかった。 26年度において,米国と同時にロンドンを訪問して,アーカイヴズや図書館における追加の調査と史(資)料収集のリサーチを予定している。
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