2014 Fiscal Year Annual Research Report
ポンドの譲位:一面的な衰退史とは異なる第二次大戦後ポンド史の再構築
Project/Area Number |
24530396
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金井 雄一 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30144108)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポンド / 国際通貨 / シティ / ユーロダラー / 制約の不利益 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二次大戦後におけるポンドの歩みを、従来からの単線的な衰退史観を否定する立場から、単に衰退であっただけでなく譲位の側面もあったことを強調しつつまとめた『ポンドの譲位―ユーロダラーの発展とシティの復活―』(名古屋大学出版会、2014年)を刊行したのに続いて、譲位に関わる要因としてのユーロダラー市場の実態と国内経済政策への制約を除去しようとする動きに関して更に分析を進めた。 しかしながら、ユーロダラー市場の実態に関しては、1970年代に新たに大きな存在となってくるオイルマネーの動向を精緻に把握した上でその意義を問う、というところまで考察を進めることができなかった。また、ポンドが国際通貨であることが国内経済政策にもたらしていた制約に関する議論についても、内閣、大蔵省、イングランド銀行などにおける討議状況は一定程度検討できたが、ストップ・ゴー政策を巡る論争など、より広い範囲での議論の実情を把握するには時間が足りなかった。 したがって、今後これらの課題をより緻密に追求していくために、北海油田の出現やサッチャー政権期における経済・金融政策をも視野に入れた考察を進めていく計画を立てている。
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Research Products
(5 results)