2014 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ語圏を中心とするヨーロッパ広域経済圏の形成に関する歴史的研究
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24530399
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ばん澤 歩 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90238238)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済史 / 西洋史 / 数量経済史 / 経営史 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の実績は以下の3方面に分けられる。いずれも今次研究計画に沿ったものである。 ①地域経済の成長と超地域的統合について;地域経済統合の古典的なケースであるドイツ関税同盟に関する数量経済史的研究の最近の成果を整理し、地域経済論への理論的アプローチの展望を示すサーベイ論文を執筆、「大阪大学経済学」誌に公表した。古典的な関税同盟論の見直しから進んで、空間経済学の手法を援用した諸成果によって、超地域的な経済統合の進展には交通・輸送セクターの発達が不可欠であることがあらためて明らかになったことを重視すべきとの認識を得た。 ②鉄道業の組織的変革と「国民国家」的統合について;今年度は複数回、史料調査としてドイツ連邦共和国・連邦文書館(ベルリン)に赴き、ライヒスバーン成立期の鉄道業内部の組織変革と相互交渉の経緯を確認した。調査の成果の一部は、19世紀末のライヒ・帝国鉄道庁に関する論文(英文・投稿中)の改訂に利用した。 ③西洋経済史・経営史研究の方法論的見直し;我が国における西洋経営史研究の50年にわたる動向を調査し、簡単な統計的分析によって、量的な縮小と他国(対象国)における学界の研究動向とのリンクの低下が同時に進んでいることを示した。この内容は経営史学会第50回全国大会パネルセッション(英語パネルセッション(SO603)Convergence or Divergence?: Recent Currents and Methods in Business History Studies, 文京学院大学(東京都),2014年9月12日)において日野真紀子氏・定藤博子氏との共同により報告された(経営史学会発行の英文誌Japanese Journal of Business History において論文として公表予定。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画で予定していた非ドイツ語圏における資料調査について、技術的理由から回数が不足しており、史料収集について必要なデータを完備するに至っていない。また経営史研究動向に関する方法論的な関心に基づく分析については英文論文の公表で一段落できるが、国際共同研究への参加でスケジューリングに限界が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより地域経済統合に関する研究の成果提出に努めたい。そのためには非ドイツ語圏に関する統計的調査を追加する必要が高く、史料調査出張の規模を拡張する。 成果公表については国際英文誌への公表を中心に企図する。
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Causes of Carryover |
計画通りの使用をほぼ達成したが、史料調査の成果として購入にあてるべき史料データCD-ROMの費用の計算と請求が、ドイツ連邦共和国枢密文書館側において遅れたため、別用途での使用となり、若干の誤差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画における史料ないし参考書籍購入に充てる予定。
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Research Products
(5 results)