2013 Fiscal Year Research-status Report
太平洋戦争期の物資動員計画と自給圏構想に関する研究
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24530401
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山崎 志郎 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (10202376)
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Keywords | 物資動員計画 / 船舶徴用 / 経済総動員 / 行政査察 / 東條内閣 / 臨時鉄鋼増産協議会 |
Research Abstract |
今年度は、1944(昭和19)年度の物資動員計画の立案過程、計画の全体構造、計画実施過程について、一次資料の分析を通じて明らかにした。この結果、経済合理性に基づいて比較的適切に立案されていた総動員諸計画が、当該年度に至って大きくその合理性原則から逸脱したことを実証した。研究史上の新たな知見は以下の通りである。第一に、作戦を優先するあまり、計画策定における陸海軍主務者による極度の介入が生じ、作戦用の徴用船舶を限度を超えて捻出するため、輸送力の算定と鉄鋼・船舶・航空機生産の見通しに関して合理性を欠く算定がなされた。また、敗戦が濃厚になるなかで、陸海軍統帥部が作戦(動員)規模、動員時期の終結見通しを設定できなくなり、動員を担当する軍政部からも、総動員行政が機能しないなどの批判を受けるようになっていた。第二に、合理性を失った問題を糊塗するため、1944年2月海軍大臣と軍令部総長の兼務、陸軍大臣と参謀総長の兼務による統帥と軍政の「一体化」をはかり、計画の破綻を危惧していた、蔵相、農商相、運輸輸通信相の経済閣僚を更迭し、政権中枢の分裂を回避しようとしたが、結局この人事が東條内閣の崩壊原因となった。第三に、合理性を欠く鉄鋼・船舶増強政策を強行するため、44年3月に藤原銀次郎内閣顧問を中心とした臨時鉄鋼増産協議会が設置され、膨大な鉄鋼・船舶増産目標が設定されたが、総動員計画上の合理性はなく、混乱に拍車をかけた。第四に、サイパン島失陥・東條内閣崩壊後も、動員終結のシナリオを描けず、45年度以降も大規模な動員体制を維持する前提で、南方物資獲得のための大量の船舶動員を行い、その結果膨大な量の船舶を一挙に失い、44年度下期の劇的な生産低下が生じた。第五に、建設途上にある施設・機械やその資材を一挙に一挙に改修し、供給計画の最大の原資にしようとして、徹底した経済破壊を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太平洋戦争期の総動員計画を年度計画ごとに解明しており、1944年度の分析を終えたことで、残すは45年度の上期計画のみとなっている。平成27年の最終年度中には、総動員計画と「大東亜共栄圏」の崩壊の全過程の分析を終え、本研究課題について、学術書を刊行する見通しがついた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、1945年度の総動員計画構想、物資動員計画の策定、その終戦までの実績をまとめて、総動員政策の経済的帰結、「大東亜共栄圏構想」に関する学術書の素稿をまとめる。これをもって、秋には科研費「研究成果公開促進費」を申請し、27年度中に全体チェックをしながら本研究課題に関する学術書を刊行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
作業補助要員として適切な人材が見つからず、研究代表者が所用の作業をしたたことと、調査旅費の経費を所属大学からの研究費でカバーできたため。 調査および研究発表用に旅費を使用し、マイクロフィルム画像のデジタルデータ化処理等にアルバイト謝金を使用するほか、資料集、学術書などで所属大学にない図書類を購入する。
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Research Products
(1 results)