2012 Fiscal Year Research-status Report
戦前日本の株式所有構造と企業統治:1890~1945年
Project/Area Number |
24530409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
齊藤 直 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 准教授 (90350412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 英昭 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60182028)
結城 武延 秀明大学, 人文社会・教育科学系, 助教 (80613679)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済史 / 経営史 / 金融史 / 企業金融 / 企業統治 / 株式市場 / 株主総会 / 取締役会 |
Research Abstract |
本研究は、戦前日本の企業金融と企業統治について、「株主主権的」な企業システムが果たした役割を解明するという視点から分析することを課題とし、具体的には、(1)マイクロレベル(企業レベル)の企業財務データベースと資本異動・株式所有構造データベースを構築し、(2)それを用いて、戦前日本における「株主主権的」な企業システムの役割に関する分析を、歴史研究者と応用経済学者が共同で行うことを目指している。 平成24年度は研究プロジェクトの初年度にあたることから、(1)データベース構築の面において企業財務データベースを完成に近付けるとともに、資本異動・株式所有構造データベースの構築を一定程度進め、(2)「株主主権的」な企業システムに関する歴史分析・経済分析については、研究代表者、研究分担者、連携研究者が各自の分担テーマについて予備的な分析を進めることを、具体的な目標とした。 平成24年度を終えた段階の成果として、(1)データベース構築の面においては、企業財務データベースの構築をほぼ終了し、チェック作業など、残り僅かな作業で計量経済学的な分析に用いることが可能な段階にまで到達した。十分なチェック作業を施したうえで、最終的なデータベースを完成させることが次の課題となる。一方、(2)「株主主権的」な企業システムに関する予備的分析の遂行については、定期的な研究会を開催し、相互に研究報告を行うことで、研究成果の質を高めることを目指すとともに、各自が担当テーマに関する分析を進めた。そして、研究プロジェクトの初年度でありながら、いくつかの論稿を発表するとともに、経営史分野の国際会議(パリ)において、戦前期の大企業における利益処分行動に関する計量経済学的な分析の暫定的な結果を報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は研究プロジェクトの初年度にあたることから、(1)データベース構築の面において企業財務データベースを完成に近付けるとともに、資本異動・株式所有構造データベースの構築を一定程度進め、(2)「株主主権的」な企業システムに関する歴史分析・経済分析については、研究代表者、研究分担者、連携研究者が各自の分担テーマについて予備的な分析を進めることを、具体的な目標とした。 このうち、(1)については、企業財務データベースの構築作業をチェック作業などを残すのみの段階にまで進めたが、これは概ね計画通りか、やや上回るペースの進捗状況であるといえる。一方、資本異動・株式所有構造データベースの構築作業は、新たに構築を進めているデータであることから、必要な作業手順の確定に手間取り、計画をやや下回る進捗状況となった。平成25年度に重点的に取り組む必要があるといえる。 また、(2)については、初年度でありながら、いくつかの論稿を発表するとともに、国際会議で研究報告を行うという成果を得た。3年間の研究期間のうちの初年度であることを併せ考えれば、当初の計画をやや上回る進捗状況にあると判断できる。 以上の進捗状況を総合的に判断し、部門に応じて進捗状況に差はあるものの、当初掲げた「研究の目的」の達成に向けて、おおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、メンバーが取り組む各研究テーマの進展とデータベース公開準備を行う。(1)データベース構築の面においては、企業財務データベースのチェック作業を完了するとともに、資本異動・株式所有構造データベースを概ね完成に近い状態にまで到達させることを目指す。このうち、企業財務データベースについては、研究代表者・研究分担者が中心となって公開に向けた準備にも着手することとしたい。(2)一方、「株主主権的」な企業システムに関する歴史分析・経済分析については、平成24年度における予備的分析の成果を踏まえつつ、メンバーが各自の研究テーマに本格的に着手し、引き続き定期的に開催する研究会における研究報告とメンバー間の討議により、研究の水準を高める。また、可能であれば、翌年度(最終年度)における研究成果の公表に向けて、暫定稿を作成し、英文での公表が望ましい応用経済学的な分析の成果については、英文での論文作成に向けた準備も進める。 なお、最終年度の平成26年度については、平成25年度における進捗状況にも依存するが、研究成果の取りまとめと公表を目指す。具体的には、社会経済史学会、経営史学会などの学会でパネル報告を企画するとともに、国際学会でも積極的に研究成果を報告し、研究論文の形で交換することを目指す。また、長年をかけて構築してきた企業財務データベースについても、学会の共有財産として公開することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度から繰り越すことになった研究費は、(1)研究分担者の宮島英昭(早稲田大学)に対する分担金のうち、企業財務データベース構築作業に関連する学生アルバイトへの謝金が当該学生の就職活動等の事情により予定通りのペースで支出されなかった部分、および、(2)研究分担者の結城武延(秀明大学)に対する分担金のうち、資料調査目的での出張旅費(1回分)が校務との兼ね合いにより延期されたことで未消化となった部分、の2つに対応している。 これらは、研究の遂行にとって不可欠の支出であることから、平成25年度のできるだけ早い段階で、同一の目的(企業財務データベース構築作業に関する学生アルバイトへの謝金、および資料調査目的での出張旅費)での支出を予定している。
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Research Products
(6 results)