2012 Fiscal Year Research-status Report
自治体からの効果的防災情報発信と自主防災組織の機能化に関する研究
Project/Area Number |
24530417
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
有馬 昌宏 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (00151184)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経営情報 / 防災情報 / 自主防災組織 / 組織活性化 / 組織率向上 / ウェブページデザイン / 住民評価 |
Research Abstract |
住民の生活を守るためには,災害時はもとより,平時から住民や地域訪問者に対して防災や地域の安心・安全に関する情報を提供し,適切な行動が行えるようにしておくことが重要である.また,災害時の避難や安否確認には,地縁で組織される自主防災組織が重要な役割を果たすことになるが,名簿上で組織されただけの名目的な組織が多く,平時の活動の活性化と災害時の活動の機能化が求められている. 本研究では,社会システム工学の視点も保持しながら,特に経営学の組織論やマーケティング論の分野の成果を援用して,ウェブサイトを通じての情報提供と地縁組織の活性化・機能化のための方策を実証的に研究することを目的とし,平成24年度は、1)防災を含めた安心・安全に関わる情報の自治体ウェブサイトからの発信の状況の現状調査を全国の1,746の基礎自治体を対象に悉皆で目視によって行う,2)全国の自治体を対象に,自治体の防災関連情報の提供内容と提供方法に関する調査を行う,3)自主防災組織を選定して,その防災訓練の企画から実施までの過程に参加し,ヒアリング調査を実施して自主防災組織の機能化・活性化策や自助および共助意識の向上のために必要あるいは有効な取り組みについて洗い出す,という研究を行った. 自治体ウェブサイトの悉皆調査からは,自主防災組織の活動を紹介するページが深く、そこへ到達するためのクリック数が多いことや,ハザードマップや避難マップの用語に統一性がないことなどの問題が明らかとなった.全国の自治体を対象とする防災関連情報の提供内容と提供方法に関する調査は,このような視点からの調査が実施されたことはなく,その結果から住民向けへのウェブページのデザインや用語の統一性などの課題を明らかにすることができるものと考えられる.自主防災組織のヒアリング調査も,このような調査は少なく,活性化に向けた貴重な意見が収集できると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究活動は、1)防災を含めた安心・安全に関わる情報の自治体ウェブサイトからの発信の状況の現状調査を全国の1,746の基礎自治体を対象に悉皆で目視によって行う,2)全国の自治体を対象に,自治体の防災関連情報の提供内容と提供方法に関する調査を行う,3)自主防災組織を選定して,その防災訓練の企画から実施までの過程に参加し,ヒアリング調査を実施して自主防災組織の機能化・活性化策や自助および共助意識の向上のために必要あるいは有効な取り組みについて洗い出す,4)研究成果の発表,の4点に集約されるが,という研究を行った. 全国の基礎自治体の防災情報の発信の現状に関するウェブサイトの目視による悉皆調査については,提供される情報項目の有無やページの深度(トップページから当該ページまで到達するために必要なクリック数)などの調査項目の設定に時間がかかり,さらに目視による調査であるために,当初の予想よりも大幅に時間を要することとなり,これが昨年度の研究が当初の計画よりも遅れる大きな原因となっている. 全国の自治体を対象とする防災関連情報の提供内容と提供方法に関する調査についても,ウェブサイトの悉皆調査結果に基づいて調査項目を設計することとしていたため,悉皆調査の遅れにより,調査票の設計が遅れ,平成24年度は,全国の全基礎自治体への調査の依頼のための依頼状の作成に関わる作業(封筒の準備と宛名書き,切手の貼付)は終了しているものの,ウェブ調査を実施するための業者選定の段階の手前までしか完了できておらず,平成25年度に実査がずれこむこととなっている. 自主防災組織へのヒアリング調査についても,自治体のウェブサイトの目視による悉皆調査と自治体を対象とするウェブ調査の実施が遅れていることにより,実際に自主防災組織を選定して協力依頼を出す段階までで止まっており,ヒアリング調査が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に予定していた全国の基礎自治体を対象とするウェブ調査と自主防災組織を対象とするヒアリング調査を6月末までに完了することを目処に実施する.その上で,以下の研究を行う. 1)平成24年度の1)の研究(防災を含めた安心・安全に関わる情報の自治体ウェブサイトからの発信の状況の目視による現状の悉皆調査)を改めて行う.これは,継続調査により,自治体のウェブサイトからの防災情報の発信状況がどのように変遷するかの時間的な変化を見るためである. 2)平成24年度の2)と3)の研究成果を踏まえて,自治体のウェブサイトからの防災等の安心・安全情報の提供のあり方に関して,効果的な情報の提供とウェブサイトのデザインを決定する要因に関する選択実験と自主防災組織の機能化・活性化に関する対策の評価のための全国ウェブ調査を実施する.9月までに自主防災組織の機能化・活性化に関する対策の評価のための調査項目を設定する.また,効果的な情報提供とウェブサイトのデザインを決定するための要因を見つけるための選択実験については,同じく9月を目途に属性と水準を決定し,プロファイルとして仮想的なウェブページを設計する.その上で,サンプル数5,000以上,性別については男女ともに2,500以上,回答者の居住都道府県別サンプルは最小でも25以上といった条件をつけ,10月以降に一般競争入札によってウェブ調査の委託業者を決定し,11月以降にウェブ調査を実施する.集計結果はウェブ上で公開するとともに,積極的に内外の学会での発表を行う. 3)平成24年度ならびに本年度に実施した調査結果に基づく論文作成と論文発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度で未執行であった全国の基礎自治体を対象とするウェブ調査のための委託料109,656円については,本年度に実施することとして,本年度の研究費に組み込んで執行の予定である.一般競争入札により,本年度の研究費から4万円程度を使用して,総額で15万円程度の委託料を予定している. 自治体のウェブサイトからの防災等の安心・安全情報の提供のあり方に関して,効果的な情報の提供とウェブサイトのデザインを決定する要因に関する選択実験と自主防災組織の機能化・活性化に関する対策の評価のための全国ウェブ調査については,一般競争入札により実施の予定で,これまでの経験から,総額で120万円程度の委託費を予定している. 防災を含めた安心・安全に関わる情報の自治体ウェブサイトからの発信の状況の目視による現状の悉皆調査に要する経費としては,1自治体について100円で1,750自治体を調査することから,17.5万円を予定している. 残額の38.5万円は,自主防災組織のヒアリング調査ならびに研究成果の発表のための旅費として執行の予定である.
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