2013 Fiscal Year Research-status Report
自治体からの効果的防災情報発信と自主防災組織の機能化に関する研究
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24530417
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
有馬 昌宏 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (00151184)
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Keywords | 自主防災組織 / ハザードマップ / 情報品質 / 組織活性化 / 住民評価 / ウェブ調査 / 組織活性化 / 防災・減災 |
Research Abstract |
住民の生活を守るためには,住民や地域滞在者に対して防災や地域の安心・安全に関する情報を提供し,適切な避難行動が行えるようにしておくことが重要である.また,災害時の避難や安否確認には,地縁で組織される自主防災組織が重要な役割を果たすことになるが,名簿上で組織されただけの名目的な組織が多く,平時の活動の活性化と災害時の活動の機能化が求められている. 本研究では,自治体のウェブサイトを通じての防災関連情報の効果的な提供と地縁組織の活性化・機能化のための方策を実証的に研究することを目的とし,平成25年度は,平成24年度の研究に引き続き,1)防災を含めた安心・安全に関わる情報の自治体ウェブサイトからの発信の状況の現状に関する全国の1,746の基礎自治体を対象とした悉皆調査の再実施,2)愛知県の54市町村のウェブサイトを対象とした防災情報の一つとしてのハザードマップの整備状況の目視調査の実施と記載項目の情報品質の視点からの検討,3)全国の自治体を対象に実施を予定している自治体の防災関連情報の提供内容と提供方法ならびに自主防災組織の支援の実態に関する調査の調査票の検討・作成,4)自治体のウェブサイトからの防災等の安心・安全情報の提供のあり方に関して,効果的な情報の提供とウェブサイトのデザインを決定する要因に関する選択実験と自主防災組織の機能化・活性化に関する対策の評価のための全国ウェブ調査のための調査票の検討・作成,を行った。 その過程で,自治体からの防災情報の効果的発信には、R.W.Wangほか(1996)が提唱する「情報品質(Information Quality)」の概念を用いた分析・検討が有効であることが判明し,利用者の利用目的に貢献できるかどうかで測定される情報品質に関する理論に基づき,これまでの研究を見直し,最終年度である平成26年度の研究で成果がでるように準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度中に,全国の基礎自治体を対象とした「自治体の防災関連情報の提供内容と提供方法ならびに自主防災組織の支援の実態に関する調査」をウェブ調査として実施するとともに,自治体のウェブサイトからの防災等の安心・安全情報の提供のあり方に関して,効果的な情報の提供とウェブサイトのデザインを決定する要因に関する選択実験と自主防災組織の機能化・活性化に関する対策の評価のための5,000サンプル規模の全国ウェブ調査を実施する予定であった.しかし,それらの調査票を設計している段階で,平成24年度の研究成果を平成25年度の日本情報経営学会の全国研究発表大会や経営情報学会の研究部会で発表した際のコメントから,R.W.Wang and D.M.Strong(1996)が提唱した,利用者(本研究では住民や地域滞在者)の利用目的(本研究では避難するかどうかの意思決定や自主防災組織への積極的参加)に貢献できるかどうかで測定される「情報品質(Information Quality)」の視点を組み込んだ研究が有効であることが判明し,情報品質の視点から調査票の設問の大幅な見直しなどを行ったため,2つの調査の実施にまでには至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に予定していた全国の基礎自治体を対象とするウェブ調査と全国の住民を対象とする5,000サンプル規模のウェブ調査を7月末までに完了することを目処に実施する.その上で,以下の研究を行う. 1)平成24年度と平成25年度に引き続き,防災を含めた安心・安全に関わる情報の自治体ウェブサイトからの発信の状況の現状調査を改めて行う. 2)日本に滞在する外国人向けの防災情報の有効な発信について検討するために,外国人を対象とした仮想のウェブページを用いた選択実験を行う.対象としているのは英語と中国語(簡体字)である.9月までに仮想的なウェブサイトを構築し,外国人被験者の参加を得て,選択実験によって外国人に分かりやすい防災情報の発信のあり方を検討する.外国人被験者については,日本在住の外国人に加えて,観光旅行を想定して,海外に在住の外国人を対象としたウェブによる調査も検討する. 3)聴覚や視覚に障害を持つ方々にとっての防災情報のウェブサイトからの提供の仕方について,障害者の方々と社会福祉協議会の担当者へのヒアリング調査などを通じて検討する. 4)自主防災組織単位で人口構造や昼夜間人口の違いなどの現状と10年先の予測結果,そして要援護者と支援者の数の過不足のバランスの状況などをGISを使って可視化し,地域住民に防災および避難に関する問題意識を持ってもらった上で自助と共助と公助を考えてもらうための,自主防災組織の参加者でも操作できる簡易な情報システムのプロトタイプの構築を行う. 5)研究成果については,内外での関連学会での研究発表や自治体関係者ならびに自主防災組織関係者への成果発表会を開催し,学会誌への投稿も積極的に行う.平成26年度の後半では,研究成果を報告書に取り纏め,ウェブサイトを通じての一般への公開も検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に,全国の基礎自治体を対象とした「自治体の防災関連情報の提供内容と提供方法ならびに自主防災組織の支援の実態に関する調査」をウェブ調査として実施するとともに,自治体のウェブサイトからの防災等の安心・安全情報の提供のあり方に関して,効果的な情報の提供とウェブサイトのデザインを決定する要因に関する選択実験と自主防災組織の機能化・活性化に関する対策の評価のための5,000サンプル規模の全国ウェブ調査を実施する予定であったが,情報品質(Information Quality)の視点を組み込んだ研究が有効であることが判明し,情報品質の視点から調査票の設問の大幅な見直しなどを行ったため,調査票の作成の段階までにとどまり,2つの調査の実施にまでには至らず,調査の実施のために計上していた研究費を執行しなかったために次年度使用額が生じた. 平成26年7月末までを目途に,昨年度中に実施予定であった,全国の基礎自治体を対象とした「自治体の防災関連情報の提供内容と提供方法ならびに自主防災組織の支援の実態に関する調査」をウェブ調査として実施するとともに,自治体のウェブサイトからの防災等の安心・安全情報の提供のあり方に関して,効果的な情報の提供とウェブサイトのデザインを決定する要因に関する選択実験と自主防災組織の機能化・活性化に関する対策の評価のための5,000サンプル規模の全国ウェブ調査を実施する.
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