2013 Fiscal Year Research-status Report
日本のコーポレート・ベンチャー・キャピタルの投資行動に関する経営財務論的研究
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24530426
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小椋 康宏 東洋大学, 経営学部, 教授 (40058144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
董 晶輝 東洋大学, 経営学部, 准教授 (80408955)
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Keywords | ベンチャー・キャピタル / 投資基準 / ベンチャー企業 / 経営財務 |
Research Abstract |
初年度ではアンケートによる実態調査に重点を置いた。アンケートの内容について研究目的にそって検討、構成し、アンケート調査を実施した。2年目に当たる今年度では、昨年度で得った調査データについて統計分析を行った。ベンチャー・キャピタルがベンチャー企業への投資の審査基準、投資先企業にする評価の方法、投資期間と投資ポートフォリオの管理、投資先企業への経営関与の4つの側面に関してそれぞれの統計的分析結果を得ることができた。これらの分析結果について、調査研究の総括として、論文にまとめ、これらの実務上の見解を明らかにしたことにより、経営財務の原理の導出、ベンチャー・キャピタルの投資行動を経営財務の理論から解明することの土台を作ることができた。 そのうえで、今年度はさらに理論研究に進むことにした。今年度の理論研究では、実態調査で分かったベンチャー・キャピタルが投資回収の手法として多用される買収合併の理論モデルについて重点を置いた。買収合併の理論研究は投資と企業評価理論の重要な一分野であるが、ここではさらに、ベンチャー投資のハイ・リスク要素を考慮する必要があった。そこで、ここでは、買収合併に関する研究は従来的方法と異なるアプローチをとり、リアルオプションン理論を応用した買収合併の理論モデルを研究した。この研究により、買収合併の準備期間中に、当事者の双方がもとに不確実的な状況変化により企業価値の急変に見舞われるように事態を想定したときの、買収の最適なタイミングを買収価値の査定に関する理論モデルを構築することに成功した。この研究結果は関連分野の国際学会で報告を行った。研究結果についての論文も年度内に公表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね当初の計画通りに進展してきている。初年度はコーポレート・ベンチャー・キャピタルの投資基準に関する資料調査と実態調査を実施した。今年度は昨年度の調査で得た資料を分析し、実態調査で回収したアンケートの統計分析を行い、調査と分析の結果を論文でまとめた。これらの結果に基づいた理論研究に着手し、特にアンケート調査で得た投資回収でよく利用される買収合併の手法についての理論モデルを構築し、買収合併のタイミングと買収価値の評価について成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はこれまでの研究をさらに進化させ、コーポレート・ベンチャー・キャピタルの実務でも利用可能なベンチャー企業への投資基準、経営への関与、投資回収についての経営財務論に基づく企業価値創造の基礎理論を確立させることにある。これまでの実態調査の分析結果と基礎部分の理論研究を基に、研究を行うことであるので、最終年度においても計画通りにほぼ順調に進展できると考えている。
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