2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本のコーポレート・ベンチャー・キャピタルの投資行動に関する経営財務論的研究
Project/Area Number |
24530426
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小椋 康宏 東洋大学, 経営学部, 教授 (40058144)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
董 晶輝 東洋大学, 経営学部, 准教授 (80408955)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 企業家精神 / ビジョン / イノベーション / 行動理念 / リアルオプション法 / 投資の最適タイミング / 平均待ち時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究の最終年度であり、これまでの調査や基礎的研究に基づき、さらに研究を深化し、その成果を2つの側面で整理して、2本の論文にまとめた。一つは、企業家精神を創造する理念を明らかにし、企業家的に経営者の行動理念を明らかにしたものである。企業家精神の本質は創造性とイノベーションにあり、ビジョンを経営意志決定の基本理念に組み込むことである。具体的には、スティーブ・ジョブズの企業家精神に関する経営理念を明らかにした。また、今日における企業家的経営者の企業家精神がベンチャーという新しい組織の創造につながるものであり、経営体の持続的成長にとって最も重要なもののひとつであることを明らかにした。 もう一つは、ベンチャー・キャピタルがベンチャー企業へ投資を行う際の評価手法としてリアルオプション法が用いられることおよび投資先のリスクを考慮して高い要求収益率を使用することがベンチャー・キャピタルに対するアンケートで明らかになったことに基づき、このような状況の下で、リアルオプション・モデルを適用する場合に起きる問題とその解決策を学術的に解明したものである。実務で広く使用されている1変数のリアルオプション・モデルでは、要求収益率が高いときには、投資実行までの平均待ち時間が急速に伸び、投資案件の有効性が疑われるという問題が生じることを解明した。この問題の解決策の一つとして、2変数のリアルオプション・モデルの有効性を解明した。さらに、2変数のリアルオプション・モデルの利用の障害となっている複雑さを取り除くため、1変数モデルとの対応関係を解明した上、2変数モデルが1変数モデルのように利用できる変数変換の方法を提示した。この研究の結果は実務におけるリアルオプション・モデルの利用がさらに広がることに寄与すると期待される。
|