2012 Fiscal Year Research-status Report
IT投資・組織特性・経営成果間の関係に関する詳細レベルの拡張研究
Project/Area Number |
24530428
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平野 雅章 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00165193)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | IT投資 / IT支出 / 組織特性 / 組織IQ / 経営成果 / 補完性 / 非対称補完性 |
Research Abstract |
研究目的:24年度の目的は、(1)基盤A(20243024)で構築したデータベースを再分析して、下位変数レベルでのIT投資と組織IQとの関係を検討すること、(2)中間結果を公表すると共に内外の研究者や実務家と意見交換することによって洞察を得たり、研究方向の改善を行うこと、(3)研究方法の深化と25年度研究の準備を行うことであった。 研究方法:上記データベースを見直して、アグレゲイトでは相関関係が全く見られないIT投資と組織IQの下位変数同士の関係を同定する方法を考察・検討した。国内外の研究集会(国内2回、海外1回、海外1回は直前に家族が入院したため断念せざるを得なかった)出席やシンポジウム企画・参加(経営情報学会シンポジウム等)、さらに実務家への面接聞き取りにより、研究方向の確認と微調整を行いながら研究を進めた。また、次年度利用予定の統計ソフトやアンケート集計サイトの試用・習熟などの準備も行った。 研究成果:今年度の一番重要な成果は、「実証データによるとIT投資と組織IQとの間には相関が見られないのであるが、経営成果に関してこれらは非対称的に補完的な経済要素として定式化できそうだ」という見通しが得られたことである。まず定性的な方法論の有効性の試験を目的に、IT投資が組織IQを構成する各下位変数のリターンに及ぼす影響について評価して、5つの組織IQ原則の内「外部情報感度(EIA)」と「継続的革新(CI)」のみがIT投資の影響を受けるという暫定的な結果を得て研究集会で報告した[学会発表1]。その後、報告時のフィードバックを受けて、この方法論を拡張して研究を進めたが、結果の公表は次年度になる[学会発表2]。 25年度以降は、この枠組に準拠して、理論的研究および定性的・定量的なアプローチの研究を推進していくことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績は、概ね当初の応募申請の通りに進行している。 上記実績報告のように、新しい枠組と方法論の開発では、計画より速く進行しているとも言える。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね、当初申請計画の通りに推進予定である。 平成25年度:今年度は、24年度研究の成果に基づいての、作業が中心となる。(1)経済産業省「情報処理実態調査」のデータを更新する。(2)改めて組織IQアンケート調査を実施、データを更新する。(3)上記の結果を利用して、基盤A(20243024)で作成した大サンプルデータベースを整備拡張る。(4)中間結果は、随時、研究者向け(国内2回、海外3回の研究集会参加、学術雑誌への投稿を予定)・実務家向け(シンポジウム、ビジネス人向けメディアを予定)に公表すると共に、フィードバックを得る。 平成26年度(最終年度):(1)前年度に整備拡張した大サンプルデータベースの詳細分析を行う。(2)分析結果に基づいて、小数サンプル企業に対して詳細な事例調査を行う。(3)海外研究者(Brynjolfsson教授や Weill教授のグループを想定)との比較研究を企画する。それぞれ今まで独立に研究してきているので、比較のためには、準拠モデルの摺り合わせなど、実務的な準備が必要である。(4)成果を、研究者向け(国内2回、海外2回の研究集会参加や学術雑誌への投稿を予定)・実務家向け(シンポジウム、ビジネス人向けメディアを予定)に公表して、結果の実用化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に40万円近くの予算差異が発生したのは、以下の二つの事由の合併効果による。 (1)一部研究が計画より速く進行した部分があったため、物品購入を前倒しにすることとし、30万円の前倒し交付を申請した。 (2)予定していた研究集会への海外出張が、直前に家族が入院して断念せざるを得なくなり、海外旅費相当分が未執行となった。 現在、25年度には、3回の海外出張を計画している(当初申請計画では2回)が、これに関して大幅な研究計画の変更は必要ないと考えられる。
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Research Products
(2 results)