2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530435
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
井戸田 博樹 近畿大学, 経済学部, 教授 (10352957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
文能 照之 近畿大学, 経営学部, 教授 (30388491)
辻 正次 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (90029918)
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Keywords | ソーシャルメディア / イノベーション / 吸収能力 / ソーシャルキャピタル |
Research Abstract |
本研究の目的は、ソーシャルメディアが、日本企業のイノベーションにいかに寄与しているかを解明することである。それにより、今後の企業イノベーション戦略にソーシャルメディアをどのように活用すべきかについて提言する。また、日本企業のイノベーション活動の活性化を支援するICT活用政策についても提言する。 引き続き今年度も、以下の4つの内容について研究を行った。1.オープンイノベーションを成功させる組織内部のイノベーション能力と外部組織との連携の関連性、2.ソーシャルメディアを含むICTの利活用による企業イノベーション、3.ソーシャルメディアに関する先行研究調査、4.ソーシャルメディアのビジネス利用、ソーシャルメディアを用いた商品開発に関するアンケート調査 1.に関しては、日本の中小企業と東アジア諸国の企業のデータ解析から、オープンイノベーションにとって、組織の吸収能力が重要であることを明らかにし、外部組織との連携に関する中小企業政策について提言を行った。【論文No.6, 8他】 2.に関しては、1に関する研究をさらに発展させ、ソーシャルメディアを含むICT活用が、このメカニズムにいかに影響を及ぼすかについて分析を行った。その結果、ICTの利用効果が高いと吸収能力やイノベーション能力を高め、イノベーション活動を活性化することが確認された。【論文No.7他】 3.に関しては、ソーシャルメディアに関する文献サーベイを行った。4.に関しては、これまでの研究成果や文献サーベイ、インタビュー調査を踏まえて、日本企業に対して、「ソーシャルメディアのビジネス利用」と「ソーシャルメディアを用いた商品開発」に関する2種類のアンケート調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査および、企業へのインタビュー調査、ソーシャルメディア活用やイノベーションに関する国内外の各種研究会に参加して先行研究を整理してきた。 また、日本企業および東アジア諸国の企業へのイノベーションに関するアンケートデータを用いて、仮説の検証を行ってきた。これらの研究成果を踏まえ、今年度、当初の計画通り、第1回目のアンケート調査を行った。 アンケートの対象企業は、ソーシャルメディアの利用に積極的と思われる上場企業および未上場企業2,000社である。 これらの企業に対して、郵送により、「ソーシャルメディアのビジネス利用」と「ソーシャルメディアを用いた商品開発」に関するアンケート調査を行った。ビジネス利用に関しては、(1)ソーシャルメディアの利用状況、目的、効果、(2)ソーシャルメディアに対する企業の考え方、(3)ソーシャルメディアの公式利用、(4)ソーシャルメディアのモニタリング、(5)ソーシャルメディアのデータ分析、(6)ソーシャルメディアの評価、(7)社員の個人利用などについて調査した。 ソーシャルメディアを用いた商品開発に関しては、(1)新商品・サービス開発の状況、消費者との共同開発、(2)新商品・サービス開発に関するソーシャルメディアの利用状況、(3)ソーシャルメディアの利用目的、効果、(4)公式アカウント、(5)コミュニティサイト、(6)社員の個人利用、(7)ソーシャルメディアの社内利用、(8)ソーシャルメディアの取引企業間利用などについて調査した。 有効回答件数はさほど多くないが、先進的な企業の実態に関するデータを収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、入手したデータを解析して学会発表と論文の作成を行う。また、先進企業へのインタビュー調査をさらに行い、第2回目のアンケート調査に向けて準備する。 次年度は、今年度入手したデータを解析して、国内外の学会で発表する。「ソーシャルメディアを用いた商品開発」の調査からは、新商品・サービス開発(プロダクトイノベーション)にソーシャルメディアが有用であるかを検証してみる。「ソーシャルメディアのビジネス利用」の調査からは、ソーシャルメディアへの企業の考え方や利用状況が、利用効果にどのように影響しているかを検証してみる。また、一部企業からは2つの調査について回答を得ているので、データをマージした分析も行ってみたい。 先進企業へのインタビュー調査については、日本企業のみならず海外の企業にも実施する予定である。 再来年度以降は、これらの研究成果を踏まえて、第2回目のアンケート調査を実施する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、アンケート調査を実施した。その際、締め切り期日までに返信のなかった企業に対して督促状を送付したが、当初の計画より送付枚数が少なかったため、未使用金額が生じた。 未使用金額と次年度分に請求した助成金は、文献購入代金、企業インタビューおよび学会発表に伴う諸経費として使用する計画である。
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Research Products
(19 results)