2013 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャル・ビジネスの事業ライフサイクルと協働マネジメント
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24530440
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
横山 恵子 関西大学, 商学部, 教授 (00349325)
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Keywords | ソーシャル・ビジネス / ソーシャル・イノベーション / 戦略的協働 / 事業ライフサイクル |
Research Abstract |
今年度は,ソーシャル・ビジネスの文献研究と並行して,複数の事例研究を実施して,比較考察した. 文献レビューの結果,ソーシャル・イノベーションを3つの類型に分類して,そのうちの1つである,ハイエク型イノベーション事例に焦点を絞り,複数事例を比較検討した.その結果,どの事例においても,共通項の1つに,ソーシャル・アントレプレナーの事業創造において,ブリコラージュ的な行動様式がみられることが解明された.ブリコラージュ的な行動が多用されることの解釈を文献研究とあわせて検討中であり,その理論的・実践的含意を示すことができるかどうかは未だ不明である.またソーシャル・アントレプレナーシップに伴う収益・費用構造の明確な把握が難しく,それとの絡みで,ブリコラージュ的行動様式を解釈する必要があることもこれまでの研究から判明した. 上記の成果を研究会で発表しているが,その際にはより根本的なそもそも論である「ソーシャル・ビジネス」の定義に関しても議論になった.特にソーシャル・ビジネスの定義と,調査対象事例との適合性に関して,より説得的な論理構築をする必要がある.またソーシャル・ビジネスの社会性,事業性,革新性の3つの要件と協働デザインの各自およびその関係性は,その事業ライフサイクルの中で変化しうることが,複数事例調査から見出されている.今後は,その変化の詳細を仮説として構築する必要がある. さらに,ハイエク型イノベーションだけでなく,シュンペーター型イノベーション,ガースナー型イノベーションに該当するソーシャル・ビジネスについても検討を始めているため,これらを統合的に比較考察する課題も残されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画より,各段に遅れている. 所属が変更して,教育面の担当科目等に大きな変化が生じたため,どうしても研究面に割く時間とエネルギーが通常よりも減少することとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究実績とその課題に基づいて,文献研究と事例研究を継続する. ただし,予定よりも遅れているため,集中的な事例調査等が望まれる.また各事例についての経過観察,および再調査も必要である.その際,収益・費用構造の把握方法等,調査方法を検討すべき点がいくつかあるため,これまでの半構造的なインタビュー手法の精査も必要である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属が新しくなり,教育ほかの負担面が増えたため,当初の予定通りに,本研究へ時間とエネルギーを割くことができなかった.それゆえ,研究に遅れが生じており,資金面にも影響を及ぼした. 遅れている部分である,事例研究に追加的に資金を投入する予定である.各種資料収集,インタビュー調査,参与観察,専門家との意見交換等に係る経費に重点配分する.
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Research Products
(3 results)