2012 Fiscal Year Research-status Report
中小病院の複合的な経営の要点と課題―東西日本の比較検証
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24530442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | College of Heathcare Management |
Principal Investigator |
白木 秀典 保健医療経営大学, 保健医療学部, 准教授 (10614373)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 複合的経営 / 地域包括ケア / 在宅療養支援病院 / 中小病院 / 在宅療養支援診療所 / 出資金 / 医療福祉生協 |
Research Abstract |
民間の中小の医療機関で介護、福祉事業を複合的に経営する医療法人を全国でピックアップして、その「すぐれた経営の要点と課題」を、ミクロ的な事例研究をもとに、経営学的な見地から、東西の比較を行いながら明らかにするのが目的である。 当初、個別に日本の東西からカテゴリーを決めて医療法人をピックアップして、アンケート調査をする予定であったが、予備調査を開始した段階で、各医療機関から「分析可能な標準化された財務データや診療情報を集める」のが難しいと判断した。 そこで、日本医療福祉生活協同組合連合会の協力を得て、全国の約200の医療生協の中から、200床以下の病院を持ち、介護、福祉事業を複合的に行っている約40の地区医療生協のデータを入手することができたので、その分析を開始している。 今回の研究テーマは、「人材マネジメント」「財務、収益性」「優位性の築き方」等に絞っているが、データ分析に先だって、6件の地区医療生協の実務代表者に会って、経営の実情をインタビューして回った。 地域包括ケアへの流れの中で、在宅療養支援病院の役割が一層注目されてきている現在、その中核的な役割を期待されている、複合型経営の中小病院に絞っての実態の研究は、極めて数が少ない。 また、全国の比較データ分析とは別に、200床以下の中小病院については、ケーススタディー用の教材を5ケースを目標に作成を続けている。 現在、東京都で2、名古屋で1、兵庫県で1、福岡県で2程度の予定である。 こちらは、介護、リハ、救急、DPC、訪問看護、など中小病院にとって重要なテーマにそって選んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の大きな課題は、医療法人のピックアップとアンケート調査の実施準備であった。 色々な医療法人へのインタビューやアンケート依頼を開始してみた所、標準化されたデータを期限内に必要数集めることは、実際は困難で、研究は行き詰まりかけた。 しかし、交渉に時間がかかったものの、さいわい日本医療福祉生活協同組合連合会の協力を得ることができたので、全国に散らばる中小病院グループの、標準化された経営データと、ある程度踏み込んだ診療データを入手することができた。 さらに、サンプルの地区医療生協へのインタビューへの協力も問題なく得られた。 これらは当初目的としていた、いわゆる医療法人のデータではない。 しかしながら、医療生協は地区の医療や介護に深く関わっており、診療所しかない所をのぞくと、ほぼ全部が複合的な経営の中小病院といえる。 また、特色的な組合員活動は在宅医療を重視する「地域包括ケア」の実施について研究する上で、極めて示唆に富んでいる。 また、組合員からの出資金は、医療機関にとっての資金調達の方法として、これも極めて興味深い。 複合的な経営の中小医療法人の経営のために、医療福祉生協の経営を研究することは、今回のテーマに合致し、大変意義がある。 研究目的の達成に向かって、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
定量的には、主として生協病院のデータを使って、テーマの課題である、「収益性につながる、複合的な経営の優位性の構築パターン」明らかにする予定である これは、当初の予定通り、財務データと診療データの組み合わせであり、すでにデータの提供を受けているので、分析を進めるばかりである。 途中で、さらに実際の経営状態を確認するために、フィールドインタビューをしたり、医療福祉生協の本部と討論したりすることになる。 定性的には、優位性の構築のパターンの一つの仮説である、「地域包括ケアの築き方」について、関東、関西、九州の特定の中小医療法人を取り上げて、主としてインタビューと内部資料の分析により、実態を調査研究する予定である。 さらに、以上の結果を参考にしながら、個別の中小病院の経営についてのケーススタディー用の教材を作成していくつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費としては、前年度に引き続き、インタビューのための旅費が中心となる。 定量分析や定性分析、ケースライティングに当たり、補助者を必要とする可能性もあり、その経費も見込んでいる。 消耗品や研究のための図書費も加わるが、大きな額にはならない見込み。 昨年度の繰り越しを除いて、当初の計画とおり、80万円の見込み。
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Research Products
(5 results)