2013 Fiscal Year Research-status Report
曖昧で突発的な仕事状況に置かれた従業員のストレス並びにその軽減についての解明
Project/Area Number |
24530448
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
岩田 一哲 弘前大学, 人文学部, 准教授 (70345859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 良治 長野大学, 企業情報学部, 准教授 (30350424)
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Keywords | 過労自殺 / ストレス / Webアンケート調査 / 能力 |
Research Abstract |
昨年度は、Webによるアンケート調査を行い、調査結果の分析を進めている。ストレス、仕事の内容、仕事に関する出来事の関係を分析し、役割葛藤(職場での異なる役割の間で悩む)と、対人関係で遠慮するという性格が、ストレスの主要な原因であることを明らかにした。この2つの内容は、性別、職種別、職位別のどのような要因でも原因であるため、この原因を緩和することが、従業員のストレスを削減するためには重要であることが理解できた。ただし、本研究の主テーマである曖昧な仕事(調査内では「役割曖昧性」としている)のストレスへ影響は、主要な要因ではなかった。この点については、今後さらに検討する必要がある。 また、残業時間とストレスとの関係では、役割葛藤、遠慮、役割曖昧性に比較すれば、大きな要因ではなかった。ただし、ストレスに影響する要因の1つではあった。したがって、今後は残業時間が顕著に多い群とそうでない群を比較して検討し、残業時間の顕著に多い群ではどのような要因がストレスに関連が深いかを探索したい。 これらの内容については、今年度の日本経営学会や産業・組織心理学会で報告し、学術論文として投稿する予定である。 昨年度は、共著の著書1篇、学術論文3本、学会発表1本(日本経営学会全国大会)を提示した。共著の著書ならびに学術論文(3本のうちの1本)では、曖昧な仕事に対応する能力を探求するために、産業クラスターコーディネーターという、曖昧な仕事に直面する人に必要な能力を検討した。学術論文の残りの2本のうち1本は日本労務学会誌のレフェリー誌であり、中間管理職の過労自殺とストレスの関係を検討した。最後の1本は、過労自殺研究とストレス研究の関係を理論的に検討し、アンケート調査に必要な項目を検討したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、Web調査によって、ストレス、ストレスの原因、ストレスの増大に関連する出来事の関係を検討できた。この内容についての分析にも既に着手しており、本年度の学会発表へのエントリーを念頭に入れている。 インタビュー調査については、曖昧な仕事に直面する可能性の高い産業クラスターコーディネーターへの聞き取り調査が終わっており、その内容を検討したのちに、今年度のアンケート調査項目へ組み入れる予定である。具体的には、北海道、青森県、福岡県における産業クラスターコーディネーターや当該地域の自治体職員への聞き取り調査である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究計画の変更はない。したがって、Webアンケート調査・分析ならびに研究報告書の作成に充てたい。 Webアンケート調査の具体的内容は以下のとおりである。アンケート調査に先立ち、曖昧な仕事に対応できる能力に関するアンケート質問項目を作成する。具体的には、ストレスを削減する能力、目標管理制度における従業員の評価項目、コンピテンシーを参考にして、ストレスを削減する能力が、役割葛藤、役割曖昧性、遠慮の3つの要因にどのように関係するか、また、これらの3つの要因のストレスに与える影響を、どのような能力が削減することに寄与するのかを検討したい。 日程的には、4月~9月は、曖昧な仕事に対応できる能力に関するアンケート調査項目の作成を行い、10月~12月でWebアンケート調査を行い、1月~3月で調査結果の分析ならびに研究報告書の作成を行う。 ここでの結果は、来年度の日本労務学会、日本産業ストレス学会、産業・組織心理学会の全国大会での学会発表と、これらの学会へのレフェリー投稿に充てたい。
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Research Products
(5 results)